熊谷組は、アーティキュレートダンプトラック(ADT)の自動運転・遠隔操作システムを、実際の建設機械を使わずPC上で検証できる「建機自動化検証プラットフォーム(ADTシミュレータ)」を開発した。実機の動作ログから作成した挙動予測モデルなどを利用し、ADT特有の中折れ式車体の動きやGNSS位置情報をソフトウェア上で再現する。制御プログラムの修正から現場での再検証まで約1カ月を要していた開発サイクルを、約1週間に短縮できるという。

ADTは車体中央の関節を折り曲げて旋回する構造のため、一般的な車両に比べて走行軌跡や車体姿勢の制御が複雑になる。速度や進入角度などの条件を変えた繰り返し検証が必要となる一方、従来は実機や検証フィールドを用意して確認する必要があり、自動運転技術の開発に時間がかかっていた。
シミュレータでは、実際の建機の動作データを基に、操舵や速度に応じた車体の屈折・追従動作をPC上で再現した。GNSS受信機が出力するNMEA形式の位置情報も擬似的に生成できるため、自動運転プログラムを実機と接続した場合に近い環境で検証できる。
走行ルートや車体姿勢、走行軌跡などの可視化に加え、自動テストや大量データの解析にも対応。1台のPC上で最大5台の仮想車両を扱えるため、複数の自動運転建機が協調して作業するケースの検証にも活用できる。実機の稼働や検証フィールドを必要としないことで、試験コストや事故リスクの低減、天候に左右されない安定した検証も可能になる。
今後は対応する建機の種類を増やすほか、AIによる自律走行や障害物回避技術との連携を進める。複数台の建機が協調して施工するプロセスをデジタル上で検証する基盤としての機能拡張も予定している。
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BIMedia目線ーーポイントは、建機の自動化を「現場で試す」だけでなく、開発段階からデジタル空間で検証できるようにしたことだ。自動施工が普及するほど、実機試験だけでは検証パターンや開発スピードに限界が出てくる。シミュレーションと実機を組み合わせた開発環境は、今後の施工DXを支える重要な基盤になりそうだ。