フォトラクション

人とAIが協働する建設AIビジョン 
データ基盤、AIエージェントなど6つの構想

 フォトラクションは、人とAIが協力してより良い建物づくりを目指すAIビジョン「Photoruction AI Vision – Artisan Intelligence(アルチザン・インテリジェンス)」を発表した。写真や図面、BIM、工程などの建設データをAI活用可能な状態へ整備する基盤から、建設実務を横断して支援・実行するAIエージェント、ロボットやセンサーとの連携まで、6つの取り組みを推進する。

 建設業ではAI活用への期待が高まる一方、業務ごとに異なるAIやツールを導入・使い分けることは大きな負担となる。建物や現場ごとに条件が異なり、経験や判断が求められる業務も多い。そこで同社は汎用AIの能力と建設現場で培われてきた技術や知見を組み合わせ、AIが必要な情報や機能にアクセスしながら、状況に応じて業務を支援・実行する環境を構築する。個別機能の追加ではなく、データ基盤から設計・施工までを一体化するAI活用を目指す構想だ。

 その基盤となるのが「Photoruction Platform」だ。扱う写真、図面、BIM、工程、書類などのデータを単なるファイルとしてではなく、意味や関係性、履歴、権限、現場の文脈とともに構造化するもので、AIが適切な権限のもとで必要な情報や機能にアクセスできる環境を整え、APIやMCPなどを通じたシステム間の連携も進める。AI活用の前提となるデータ基盤を整備することで、建設業務に特化したAIの実用性を高める考えだ。

 「Domain Intelligence」では、建設技術やデジタル活用に関する専門知識を持つAIを開発する。KENGIが保有する専門誌アーカイブや技術情報を活用した「KENGI AI」のほか、Photoructionの利用を支援するAIなども展開する予定としている。

 「AI-Native Photoruction」では、既存サービスにAIを順次組み込み、情報検索や入力、確認などをPhotoruction上で一連の業務として完結できる環境を目指す。第一弾として、撮影情報をもとに工種や番号、日付などを補完し、工事写真用黒板を自動生成する機能の提供を予定している。

 「Construction AI Agents」では、利用者から与えられた目的と権限に基づき、AIが必要な手順やツールを選択し、複数の業務を横断して支援・実行するAIエージェントを開発する。対象はBIMや図面の読解、整合性チェック、数量算出、書類作成、報告、データ整理など。重要な判断では人による確認・承認を組み合わせ、人を置き換えるのではなく、人の判断を支援する仕組みを構築する。

 「Adaptive Interaction」では、固定された画面に利用者が業務を合わせるのではなく、AIが利用者や役割、現場に応じて画面や入力方法、ワークフローを構成する環境を目指す。紙、写真、音声、会話などから情報を取り込み、構造化することで、手入力や転記の削減も図る。

 6つ目の「Photoruction Atlas」では、ロボットやセンサーによる現場の観測データを、工程や品質に関する情報と接続する。人、AI、ロボットが連携し、観測、判断、指示、実行、検証を循環させることで、一品生産が基本となる建設生産に、工場のような可視性や再現可能なプロセス、継続的な改善の仕組みを取り入れる構想だ。将来的にはフィジカルAIの基盤としての発展を目指す。

 中島貴春代表取締役CEOは「AIの価値は既存業務に機能を追加することだけではなく、図面や写真、工程などのデータに、判断の理由や現場の文脈を結び付け、AIが実務で活用できる知性へ変えていくことにある」としている。

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BIMedia目線ーーフォトラクションはAI機能そのものよりも、AIが建設データや業務プロセスに継続的に関わるための基盤づくりを構想の中心に置いている。今後、建設業のAI活用は個別業務の自動化から、データ、BIM、人の判断、AIエージェント、さらにはロボットまでをつなぐ方向へ進む可能性がある。その実装力が、建設テック企業の競争力を左右することになりそうだ。

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