ニューブレクス(神戸市)は、神戸大学大学院工学研究科・鍬田泰子教授研究グループとの共同研究で、光ファイバDAS(分布型音響センシング)を利用した「浅部地下リスク可視化」の検証を進めている。神戸大学構内の実在する地下トンネルを対象とした予備試験では、深さ約10mに位置する幅約2mの地下トンネルに対応する振動応答の異常を2次元的に抽出し、地下構造物の位置や走行方向、幅に相当する情報を確認した。

道路陥没や地下空洞など、地下インフラの老朽化に起因するリスクが社会的な課題となる中で、地表から地下の異常を広範囲に把握する新たな維持管理技術として実用化が期待される。浅部地下リスク可視化は、地表に設置した光ファイバDASを使い、人や車両の往来、雨、風などによって地盤中に常時発生している微小な振動を長時間計測する技術だ。光ファイバに沿って発生する振動やひずみ速度を連続的に計測でき、今回の試験では地表に光ファイバを2次元的に配置し、夜間9時間にわたって常時微動を計測した。
取得したデータに地震波干渉法を適用し、周囲とは異なる局所的な振動応答を「異常指標(Anomaly Index)」として抽出し、計測ライン上の異常点を2次元的に配置することで、地下トンネルに対応する異常を可視化した。対象となったのは、地表面下約10mに位置する幅約2m、高さ約2mの馬蹄形断面の地下トンネルで、1m級の高空間分解能DASを用いることで幅約2mの地下構造に対応する異常箇所を明瞭に抽出できることを確認した。

さらに、地下トンネルの位置で確認された有効周波数10~15Hzと、地震波干渉法によって推定したS波速度228m/sを用いて地下構造の深さも推定した結果、推定深度は9.3mとなり、実際の地下トンネルの深さ約10mと整合する結果が得られた。
地下空洞などを対象とした探査では、異常の有無だけでなく、その位置や深さをどの程度把握できるかが重要になる。今回の結果は地表から取得した常時微動を利用して、浅部地下の構造に関する情報を抽出できる可能性を示したものといえる。
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BIMedia目線ーー注目したいのは地下インフラの維持管理を「点検」から「面的なデータ取得」へ変えていく可能性だ。従来の地下インフラ管理では異常が疑われる場所を個別に調査するケースが多い。光ファイバDASを使って地表から広範囲の振動データを取得し、異常箇所を可視化できれば、詳細調査が必要な場所をデータに基づいて絞り込める。将来的にはDASによる計測データに、道路や地下埋設物の3次元データ、BIM/CIMなどのインフラ情報を重ね合わせることで「どこに、どのようなリスクが存在するのか」をデジタル空間上で把握する維持管理につながる可能性もある。