関電工

AI活用の概算積算システムを導入 
見積作成を数週間から数十分へ短縮

 関電工は、設備工事の概算積算業務を効率化する「自動項目概算システム」を導入した。システムはULSコンサルティングが構築したもので、AIとルールベース処理を組み合わせることで、従来1~2週間を要していた概算見積もりの作成時間を数十分程度まで短縮し、業務の標準化と生産性向上を見込む。

 就業者の減少や働き方改革への対応を背景に、生産性向上と熟練技術者のノウハウ継承が大きな課題となっている。電気設備や空調設備、情報通信設備などを手掛ける関電工でも、設備工事の概算積算業務は経験豊富な担当者に依存する部分が大きく、見積書の作成には1~2週間を要していた。

 関電工は2030年の「データドリブン経営」の実現を掲げ、データ活用による意思決定の高度化を推進しており、その取り組みの一環として概算積算業務へのAI導入を検討してきた。しかし、AI関連事業者と2度にわたりPoC(概念実証)を実施したものの、期待した成果には至らなかった。そこでULSコンサルティングと連携し、AIだけに依存しないシステムを構築した。

 新システムでは、過去の類似案件の検索や工事項目ごとの金額算出にはルールベースのロジックを採用し、AIは自然言語で記載された見積条件の解析や、顧客ごとに異なる表現や書式の読み取りを担う役割とした。AIの得意分野と従来のロジック処理を組み合わせることで、高い積算精度を維持しながら実用性を確保した点が特徴で、算出ロジックの約80~90%は従来の積算ノウハウを踏襲しており、熟練技術者の知見をシステムとして可視化・継承する仕組みとなっているという。

 開発には約1年半を要し、アジャイル開発手法を採用した。プロトタイプを現場で検証しながら改善を重ねることで、積算担当者や営業担当者の要望を反映した実務に即したシステムへと仕上げた。システム導入により、概算見積もりの作成時間は従来の1~2週間から数十分程度へ大幅に短縮した。営業担当者が早い段階で概算金額を把握できるようになり、積算担当者との認識のずれを減らせるほか、顧客への見積提示の迅速化にもつながるとしている。

 関電工積算センターの鈴木保副センター長は、「IT部門、積算実務、技術開発研究所、営業部門など複数部署の知見を横断的に結集できたことで、大規模なDXプロジェクトを実現できた」とコメントしており、今後も自動項目概算システムの精度向上や既存システムとの連携を進め、積算業務を含めたDXをさらに推進していく方針だ。

BIMedia目線ーー建設業ではAIによる積算の自動化が期待される一方、案件ごとの条件や蓄積データの違いから、完全自動化は依然として難しい分野とされる。関電工はAIとルールベース処理を組み合わせた現実的なアプローチにより、属人化していた積算業務を効率化した事例となる。

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