橋梁メーカーの北都鉄工(石川県金沢市)が橋梁塗装の自動化を目指す共同研究「フィジカルAIを用いた国土インフラの塗装自動化システム開発」が、国土交通省のSBIR建設技術研究開発助成制度(2026年度中小・スタートアップ企業タイプ)の研究課題に採択された。AIとデジタルツイン技術を活用し、橋梁塗装の自動化と熟練技能の継承を目指す。

国内では高度経済成長期に整備された橋梁の老朽化が進み、建設後50年以上を経過する橋梁が今後急増する見込み。一方で、橋梁塗装は高所や危険箇所での作業を伴うことから技能者不足と高齢化が深刻化しており、維持管理体制の確保が大きな課題となっている。
共同研究は、AI・3次元画像処理などを手掛けるスタートアップのTengun-label(東京都新宿区)と実施し、研究代表者は北都鉄工取締役の小池田康徳氏が務める。初年度にフィジカルAIとデジタルツインを活用した塗装作業の再現モデルを構築するフィージビリティスタディに取り組む。
現実空間を3次元データとして取得し、デジタルツイン上で塗装ロボットの動作や施工条件をシミュレーションし、その結果を実機に反映するフィジカルAI技術を構築する。塗装計画の立案から施工までのリードタイム短縮や品質の安定化、危険作業の削減による安全性向上を目指す。
北都鉄工は橋梁の設計・製造・施工・補修までを一貫して手掛けており、Tengun-labelは3D点群処理やデジタルツイン、フィジカルAIの開発を強みとしている。現場ノウハウと先端AI技術を融合し、橋梁塗装の自動化技術を共同で開発する。
27~28年度には工場内での自動塗装シミュレーションや自律走行ロボットの開発へ発展させる計画で、将来的には実橋梁での運用を視野に入れ、インフラ維持管理分野への社会実装を目指す。
研究は、金沢市の産学官連携事業「TENJO KANAZAWA」を通じた企業・大学間の交流をきっかけに具体化した。地域企業と大学、スタートアップが連携し、地方発の技術で全国的なインフラ維持管理の課題解決に挑むプロジェクトとして位置付けられている。
橋梁塗装は対象物の形状や姿勢、塗布量、膜厚など多様な条件を熟練技能者が判断しながら施工する高度な作業となるため、北都鉄工は職人の技術をデータとして蓄積・継承し、人手不足が深刻化する将来に向けて「現場で実際に使える自動化技術」の確立を目指す考えだ。
