BIMedia編集部

コラム 「第一号案件をきっかけに」

 4月7日付で第1号となるBIM図面審査の確認済証が交付され、日本のBIM確認申請図が力強い一歩を踏み出した。こんなにも早く?と感じた人も多いはずだ。この案件の申請者も審査者も事前相談の段階からチャレンジしようと心に決めて前向きに取り組んできたことだろう。BIMedia編集部も第一号交付をいの一番に報道したいと取材準備をしてきただけに記事として紹介できたことに安堵しているところだが、重要なのは初案件ではなく、この後がきちんと続いていくか否かだ。

 既に第1号を交付した確認検査機関では8日付でも済証を交付済みというだけに、一歩踏み出そうと前向きに取り組む動きが見え隠れしている。他の確認検査機関でも申請や相談レベルの案件が出始めていると聞く。中には4月のタイミングで案件を選定していたが、着工時期の変更によって申請時期を延期せざるを得なかった設計者もあり、BIM図面審査に挑戦する動きは水面下では確実に広がっているようだ。

 第一号交付の建物は事務所ビルだったことから、事前相談から申請、済証が交付されるまで、少なくとも2カ月ほどはかかるだろうと想定できる。そう考えると、国土交通省がBIM図面審査ガイドラインや入出力基準などの初版を出したのは2月末から3月初めにかけてだったことから、両者間で相談を進めてきたのは正式な枠組みが明確になる前だった可能性もある。

 それをあえて話題にするのは、それだけ関係者の苦労は大きかったのではないかと推測できるからだ。制度スタートからわずか1週間で第一号は交付されたことは、それだけインパクトが大きく、29年春のBIMデータ審査に向けた力強い一歩であった。国土交通省も「BIMを中心とした建築生産プロセスの生産性向上に向けた大きな1歩と認識している。今後はBIM図面審査がこれまでよりも効率的な審査手法として定着することを期待している」とBIMediaにコメントを寄せてくれた。

 最初の一歩を刻んだ関係者に注目が集まるが、社を挙げてBIM図面審査に取り組もうと動き出している企業が広がっていることも同じくらい注視すべきだと考える。2026年度に10件以上の申請を目指す企業では既に数件を申請しており、同時にBIM図面審査への円滑な運用方法も整備したという。統合BIMモデルを一元的に管理することで自らのメリットとして図面間の整合性を確保しやすいように運用方法を確立した姿勢は、まさに国が目指す建築DXを先導するような企業としての取り組みではないだろうか。

 国交省がBIM確認申請をきっかけに取り組もうとしているのは建築分野のDX化であり、それは建物ライフサイクルを通してデジタルデータを利活用する流れを構築することだ。そのきっかけをつくるBIM確認申請は国としての成長戦略の出発点でもある。BIMデータの流れが整うことで、企業側も円滑なデータの利活用スキームを構築できる。

 BIM図面審査では、提出されたIFCデータを参考に活用しながら整合性確認などが省略される流れを前提にしている。申請者が国の新たな制度を軸に、より合理的な社内の仕組みを形作っていくことで、制度はより進化していく。

 3年後にはBIMデータ審査がやってくる。その意図を自分事として受け止め形にしていく。そうした前向きな申請者の意識変化の一つひとつが日本の建築生産を変えるきっかけになる。BIM図面審査の一歩が未来につながることを願うばかりだ。(西原一仁)

記事トレンド把握のため、気軽に押して下さい

トップに戻る