AU2026 新たな潮流(1)

AU2026に初登壇して見えたこと 
安藤ハザマ 岩倉 巧氏

Connected Dataが示したIndustrialized Constructionの未来

 2026年9月にラスベガスで開催された Autodesk University 2026(AU2026)に参加しました。私にとって初めての参加・登壇です。AUは建設業だけでなく、製造業やインフラ、メディア・エンターテインメントなど、Design & Makeに関わる世界中のプロフェッショナルが集うAutodesk最大級のイベントです。今年は約34,000名が登録し、約530の現地セッションが開催されました。

安藤ハザマ 建築事業本部BIM推進部施工BIMグループ 岩倉 巧 氏

 私は東洋大学の田澤周平先生との共同研究をもとに、「BLD2094|Precast Concrete Solutions: Achieving Convergence Through Revit-Inventor Data Exchange」というセッションで登壇しました。プレキャストコンクリートの設計と製造をデータ連携する事例を通じ、Industrialized Constructionの本質は図面ではなくデータを中心に設計と製造をつなぎ、再利用可能な製造モデルを資産化することにあると紹介しました。

東洋大学 理工学部建築学科 准教授 田澤周平氏 (左)と岩倉氏

 開催数週間前には、発表形式が通常の教室型セッションからExpo Theaterへ変更になるという予想外の出来事もありました。来場者が自由に行き交うオープンスペースで短時間に関心を引く必要があるため、技術の詳細よりも「なぜこの取り組みが必要なのか」「どのような価値を生み出すのか」に焦点を当て、発表を再構成しました。その結果、建設業と製造業をConnected Dataでつなぐ意義をより明確に伝えることができたと感じています。

 会場で特に印象に残ったのは、多くのセッションで共通して「Connected Data」が語られていたことです。AU2026全体を通じて、AIそのものではなく、設計・製造・施工・運用をつなぐデータ基盤こそが競争力の源泉になるというメッセージが繰り返し発信されていました。Autodeskはこれを「Project Intelligence」と呼び、AIがプロジェクト固有の文脈を理解できる環境の構築を重要視しています。

 また、建設業と製造業の融合も大きなテーマでした。私たちの発表も、RevitとInventorを接続し、設計から製造までを一つのデータの流れとして扱う取り組みです。Industrialized Constructionの本質は単なるプレファブ化ではありません。設計ルールや製造ノウハウを再利用可能な資産として蓄積し、次のプロジェクトへ展開する仕組みづくりです。世界的にも工業化建設は「Prefabrication」から「Productization」そして「DfMA」へ進化しており、日本はその先進市場として注目されています。

登壇を終えた田澤氏と岩倉氏

 私たちがセッションの中で提唱した「Reusable Manufacturing Models」も、まさにその実践です。プロジェクトごとにゼロから作るのではなく、再利用可能な製造モデルを企業資産として蓄積する。それにより設計変更への対応力を高め、生産性向上につなげることができます。

 初参加、初登壇となったAU2026で、世界中の実務者が同じ課題に向き合い、同じ方向を目指していることを強く実感しました。BIMを作ることが目的でも、図面を効率よく作ることが目的でもありません。設計から製造・施工・運用までの知識をデータとしてつなぎ、再利用可能な資産へ変えていくこと。その基盤がConnected Dataであり、その先にIndustrialized Constructionの未来があると感じました。AU2026で得た学びを、日本の建設業の実務へ少しでも還元していきたいと思います。


 連載「AU2026 新たな潮流」は、オートデスクの国際カンファレンス「AU」に登壇、参加した日本の実務者からのメッセージとなります。彼らは何を感じ、そしてどこに向かおうとしているか。AUをきっかけに広がるそれぞれの潮流をリポート形式で紹介していきます。

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