オフィスケイワンはエム・エム ブリッジ、大林組、IHIインフラスクエアと共同で、プレキャストPC床版の配筋設計を効率化・高度化する「プレキャストPC床版配筋BIM/CIMシステム」を開発した。床版の割付け情報や材料マスタ、設計ルールを連動させ、配筋の自動生成から3次元モデル、設計図面、数量算出までを一貫して処理できる。試験運用では、標準版を対象とした設計図面作成と数量算出の時間を、従来手法と比較して約80%削減した。

高速道路などでは橋梁の大規模更新事業が進み、今後、床版取替工事の増加が見込まれている。プレキャストPC床版の設計では配筋図の作成や数量算出などに熟練技術者のノウハウが必要で、属人的な作業になりやすい。工場で製作する床版は、現地架設時に不具合が発生した場合の手直し余地も限られるため、設計段階での品質確保が重要になる。
開発したシステムは、床版割付け情報をもとに配筋を自動生成するもので、最大・最小ピッチなどの条件に加え、スタッド孔や排水桝に伴う鉄筋の分割・補強、床版の種類に応じた配置など、設計ルールを反映した配筋設計が可能となる。これまで熟練技術者が経験に基づいて行ってきた設計ノウハウを、システム上のルールとして扱えるようにした。
床版グループ単位でのデータ管理や基準床版からの自動複写、材料マスタによる入力支援などによって、設計者の入力作業も削減する。生成したデータは3次元モデルとして出力でき、隣接する床版同士の鉄筋干渉や、既設鋼桁との取り合いを設計段階で確認でき、既設鋼桁ではオフィスケイワンの「CIM-GIRDER」で作成したデータとの連携にも対応する。
同じ設計データから2D図面と鉄筋数量を算出できるため、設計、図面、数量の間でデータを個別に作り直す作業を減らせる。設計者が隣接する床版の情報を連続的に確認できるGUIも備え、「まず見て決める」ことを意識した操作環境としている。
試験では設計作業の省力化によって床版割付けや構造検討に充てる時間を確保でき、設計品質の向上や製作コストの低減にもつながるとしている。今後はフェーズ2として、台形板など標準版以外の床版形式への対応や設計図面の自動生成範囲を拡張するほか、床版割付けシステムや設計計算システムとの連携を進め、床版更新工事における設計業務全体の高度化・標準化を目指す。
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BIMedia目線ーーシステムのポイントは配筋を自動化したことだけではない。床版割付け、設計ルール、材料情報を入力データとして、配筋、3Dモデル、2D図面、数量という後工程の成果物まで一つの流れで生成している点にある。BIM/CIMの活用では3Dモデルを作成すること自体が目的になりがちだが、本来の価値はそのモデルや属性情報を次の業務で使えるデータにすることにある。オフィスケイワンの取り組みは熟練者のノウハウを設計ルールとして形式知化し、それを設計データの一貫処理につなげた事例といえる。橋梁更新が増える中、こうした人の経験をデータ化し、設計プロセスに組み込む仕組みは、今後のインフラDXを考える上で重要になりそうだ。
