福岡地所は、6月に竣工した福岡市中央区の大型複合ビル「天神ビジネスセンターⅡ」に、パナソニックエレクトリックワークス(パナソニックEW)のビルOS「Facibble(ファシブル)」を日本で初めて導入した。建物内の設備・運営データを一つのデジタル基盤に集約し、APIを介して外部のアプリケーションやサービスと連携できる環境を整える。

Facibbleは、空調や照明などの建物設備データをクラウド上で収集・管理し、標準化したAPIによってさまざまなアプリケーションやサービスと連携できるビルOS。パナソニックEWが3月に標準サービスとして発売し、今回の導入が日本初となる。
背景にあるのは、従来の建物が抱えていた「竣工後に機能を変えにくい」という課題だ。これまでは、竣工時に実装した設備や機能が建物の価値を左右し、利用者ニーズや働き方、技術の変化に対応して大幅な機能改善を行うには、設備更新や大規模な改修が必要になるケースが多かった。
福岡地所はこうした課題に対し、ビルOSを活用することで、ハードウェアを更新することなく、ソフトウェアのアップデートのように建物の機能やサービスを追加・改善できる環境の構築を目指す。今回の導入は、2024年から福岡地所とパナソニックEWが進めてきた次世代オープンビルプラットフォームの実証を、実際の建物運営へ展開するものでもある。
実証では、空調、照明、エレベーターなどの設備操作やリアルタイムデータ、蓄積データを統一的なAPIとして扱い、アプリケーション開発などへの活用可能性を検証してきた。天神ビジネスセンターⅡでは今後、ビルデータの一部をオープンAPIとして公開する。
2027年2月にはAPI公開用ホームページを開設する予定で、公開対象となるデータや活用方法、関連サービスなどの情報を発信し、外部の事業者や開発者がビルデータを活用できる環境を整える。入居テナントとの共創も進め、利用者の声や新たな課題をサービスに反映する考えだ。
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BIMedia目線ーー設備をデジタル制御するというスマートビルの従来の考え方を、建物データを外部に開き、サービスを後から追加できる建物へと発想を広げている。BIMも建物の運用段階までデータを引き継ぎ、継続的に活用することが重要になっている。ビルOSは設備や運営データを扱う基盤だが、BIMなどの建物情報と組み合わせれば、設計・施工から維持管理、さらに利用者向けサービスまで、建物のデータをつなぐ役割も期待できる。この試みは新たなスマートビルのあり方を方向付けるきっかけにもなりそうだ。
