国土交通省は、排水機場などに設置されている河川機械設備の維持管理高度化に向け、AIを活用したモニタリングシステムの研究開発に乗り出す。2026年度から異常検知モデルと寿命予測モデルの開発を進める計画で、研究開発を担うポンプメーカーとAI開発ベンダーによるグループの公募を開始した。

河川排水機場は、大雨や洪水時に河川や周辺地域の浸水を防ぐ重要なインフラだが、ポンプなどの機械設備は経年劣化が進むため、設備の状態を的確に把握し、機能喪失を防ぐための予防保全が求められている。
研究開発では、排水機場のポンプ設備を対象に、AIによる異常検知と寿命予測の技術開発を進める。設備の状態や劣化傾向をデータから把握することで、従来の点検だけでは捉えにくい異常の兆候を早期に発見し、適切な維持管理につなげることを目指す。
研究開発グループは、ポンプメーカーとAI開発ベンダーが連携して構成する。公募期間は8月18日から9月15日正午まで。2026年10月ごろから2027年2月ごろまで研究開発を実施し、その後、成果の評価・報告を行う予定だ。
国交省は、2029年度ごろから同省が管理する河川排水機場へのAIモニタリングシステムの実装を目指している。まずは直轄排水機場への適用を進め、その後、地方自治体が管理する排水機場や上下水道、民間企業が保有する産業機械など、他分野への展開も視野に入れる。
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BIMedia目線ーー共同開発で注目されるのは、AIを「点検の効率化」だけでなく、設備の寿命を予測する予防保全にまで活用しようとしている点だ。これまでのインフラ維持管理では定期点検によって、設備が正常かを確認することが中心だった。AIによって運転データなどを継続的に分析できれば、「正常かどうか」から「いつ、どのような劣化が進む可能性があるか」へ、維持管理の考え方を変えられる可能性がある。特に排水機場は必要な時に確実に稼働することが求められる。故障してから対応するのではなく、劣化の兆候を把握して計画的に修繕・更新する仕組みが構築できれば、河川インフラのレジリエンス向上にもつながる。BIM/CIMやデジタルツインで施設の形をデジタル化する動きに加え、AIモニタリングによって設備の「将来」をデータ化する。この研究開発は、インフラDXが維持管理の予測・意思決定へ進む一つの動きとして注目されるだろう。