4月からのBIM図面審査を前に、今月から審査ガイドライン、入出力基準、適合申告書、確認申請図書表現基準、審査マニュアルなど関係基準類の初版が順次示される。2025年11月に発表した事前公表版から中身を変更するものもあり、より円滑にBIM図面審査に取り組めるような基盤が整うことになる。

国土交通省住宅局の佐々木雅也参事官(建築企画担当)付建築デジタル推進官は「予定どおりに進んでいる。実プロジェクトでの試行・検証(ロールプレー)の結果を反映し、入出力基準の解説書も近く公表する。申請者にとってはよりBIM図面審査に対応しやすくなる」と説明する。
BIM図面審査は申請者にとって任意の制度であり、国交省にとっても初年度の申請数がどの程度まで広がるか判断がしにくい。「多くの企業では既に日常の業務でBIMを使っている。BIM図面審査によって民間のBIM活用の流れを後押ししていきたい。国としてBIMを使う流れを阻害するわけにはいかない」と考えている。目線の先には、29年春から始まるBIMデータ審査がある。
申請者側も同様だ。竹中工務店の能勢浩三BIM推進グループ専門役は「BIMデータ審査に向けたワンステップとしてBIM図面審査への対応を意識している」と語る。また、日本設計の吉原和正情報システムデザイン部副部長兼設計技術部BIM支援グループ長も「BIM図面審査はBIMデータ審査への準備運動」と捉えている。参考送付となるIFCデータは意匠、構造、設備全てがそろわなくても提出が可能であり、申請者にとっては「段階的に対応できる枠組みとなり、経験を積みながらBIMデータ審査へと移行する流れになる」と受け止めている。

「発注者メリットを前提に取り組むべき」という視点から、日建設計の芦田智之常務執行役員設計技術部門統括はBIMデータを活用した確認申請の枠組みを考える必要性を強調する。「そもそもBIM活用の拡大は発注者の意向が重要であり、確認申請の枠組みを形づくる上でも申請者や審査者の効率化だけでなく、発注者メリットにつながる明確な効果を打ち出す必要がある」と考えている。
BIM図面審査の受け皿となる確認申請用CDE(共通データ環境)サービス『ArchSync(アークシンク)』を運用する建築行政情報センター(ICBA)の瀬良智機理事長は「地方自治体の建築手続きや届け出だけでなく、設計者のプロジェクトCDEとしてもアークシンクを提供していきたい」と先を見据えている。
国交省は、BIM図面審査を機に、確認申請後の中間検査や完了検査にもBIMデータ活用の流れを広げていく青写真を描いている。既に検査時にBIMデータと現場の状況を統合したデジタルツインによる検査に取り組む事例もある。佐々木氏は「そうした新たなチャレンジの実現にはデジタル化が前提になり、その基盤としてBIMデータをきちんと位置付ける必要がある。BIMデータの蓄積によって生成AIなどの先進テクノロジーも大いに活用できる道筋をつくることもできる」と付け加える。
4月のBIM図面審査は、29年春のBIMデータ審査に向けた出発点であり、国として本格的なBIM対応に向けた準備期間のスタートでもある。その先には維持管理・運用段階へのBIMデータ活用も控えている。計画から設計、施工、維持管理へと段階的に進むBIMデータ活用の流れは、社会資産としての建築物の価値につながる。BIM図面審査は、まさに建築分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けた国の力強い一歩であることは間違いない。(おわり)
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この記事は建設通信新聞からの転載です
