連載 BIM確認申請元年(5)

12プロジェクト選定し整合性検証 
入出力基準の解説書作成へ

 国土交通省の建築BIM推進会議は、2025年4月からBIM図面審査の試行・検証(ロールプレー)、同年10月からは審査の受け皿となる確認申請用CDE(共通データ環境)サービス『ArchSync(アークシンク)』の試行・検証(フィールドテスト)に取り組んだ。国土交通省住宅局の佐々木雅也参事官(建築企画担当)付建築デジタル推進官は「BIM図面審査の円滑化を図るための貴重な検証の場となった」と振り返る。

 組織設計事務所やゼネコンなどがBIMで取り組んだ事務所、庁舎、倉庫、共同住宅など12プロジェクトを選定し、実際に設計図面の整合性確認を省略できる範囲が正しく伝達され、その範囲の整合性が確保されているかを試行・検証した。選定されたプロジェクトは延べ1000㎡に満たない小規模案件から、延べ2万㎡規模の大型案件まで取りそろえた。参加企業が使用するBIMソフトの種類もバージョンも区分けした。中には意匠、構造、設備それぞれで異なるBIMソフトを使うケースもあり、導入ツールの側面からも、あらゆる場面を想定した検証となった。

 日本設計は24年12月に竣工した庁舎プロジェクトを題材に挑んだ。基本設計から実施設計まで一貫してBIMに取り組み、確認申請もBIMモデルから出力した図面を使ったプロジェクトであった。担当したBIMマネージャーの塩見理絵氏は一連の流れを確認する中で「CDE上で図面とIFCモデルを共有することで設計意図は伝達しやすくなったと思うが、入力意図の伝達が難しい場面も見られた。出力図面の狙いをしっかりと理解してもらうためにも審査側とコミュニケーションの機会をもつことが重要に感じた」と説明する。

 試行・検証は、申請者と審査者のペアで実施され、審査者側には指定確認検査機関や特定行政庁だけでなく、消防同意事務を担う消防機関なども加わった。これまで自主的にBIM確認申請に取り組んできた竹中工務店の野口元設計本部設計企画部申請統括は「消防同意を含め実際の流れを想定して検証したことは今後につながる。BIM図面審査の参考テンプレートを踏まえて修正した自社テンプレートの検証もでき、当社の進め方が間違っていないことも確認できた」と振り返る。

 12プロジェクトを通じて課題として浮上したのは、設計者の意図した範囲と審査者の理解した範囲に差が生じるケースがあったほか、申告した範囲の整合性が確保されていないプロジェクトもあった点だった。建築BIM推進会議の審査TFが25年10月に示した報告によると、基準の分かりにくさや様式の使いにくさに加え、整合性が確認されている部分の申告という認識が十分にないことも原因であることが分かった。その対策として入出力基準の解説書を作成するとともに、申告書の文言や様式を見直すことも決めた。不整合としてチェックすべき項目も整理し、図面や申告書だけでは設計意図の伝達が難しいことから、申請者と審査者の間で事前説明や省略項目などの意図について説明することもガイドラインなどに盛り込んだ。

 試行・検証の参加企業からは「一定の感触を得ることができた」との思いが漏れ聞こえてくる。それは設計事務所やゼネコンなどの申請者側だけではない。むしろ審査を担う指定確認検査機関などにとっては、BIM図面審査の受け皿となる確認申請用CDE(共通データ環境)サービス『ArchSync』(アークシンク)を活用した新たな審査体制を構築する必要があるだけに、4月のBIM図面審査を前に実プロジェクトをベースに試行・検証ができたことの手応えは大きかった。

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この記事は建設通信新聞からの転載です

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