4月から建築確認申請の新たな制度として、BIM図面審査がスタートする。「遠くにそびえ立つ山の入り口に思ったより早くたどり着くことができた」。国土交通省住宅局の佐々木雅也参事官(建築企画担当)付建築デジタル推進官は手応えを口にする。国交省が建築BIM推進会議を発足した2019年6月当時、BIMデータを活用した審査の実現は「遠くの山」であり、将来に向けた目標の一つであった。急速に広がりを見せる民間企業のBIM導入の勢いが制度化への大きな後押しとなった。「この流れをさらに進展させたい」。BIM確認申請の元年を迎え、建築分野は新たなステージに力強い一歩を踏み出そうとしている。

BIM確認申請に乗り出す背景には、国として建築分野の生産性向上を後押しせざるを得ない状況が深く関係している。1級建築士の有資格者は60歳以上が4割を超え、高齢化が進み、若年層の有資格者数も伸び悩む。人材の確保はもちろん、建築生産プロセスにおける各業務の効率化が強く求められる。28年から大規模な建築物を新築する際、ライフサイクルCO2の算定を求める制度の導入検討も本格化している。設計段階にBIMデータを活用した部材単位の情報管理が極めて重要になる。
佐々木氏は「国として建築DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する柱の一つがBIMデータの活用であり、建築生産プロセスのデジタル化を実現するきっかけとして、確認申請は重要なBIMの結束点になる」と強調する。建築生産は計画、設計、施工、維持管理という時系列の流れと、意匠、構造、設備、積算など専門分野の流れで構成され、BIMはそれら縦軸と横軸をつなぐ役割を担う。BIMデータを活用した確認申請の実現は「建築DXに大きなインパクトをもたらすことは間違いない」と確信している。

国交省は4月からBIM図面審査、29年春からはBIMデータ審査に乗り出し、確認申請のBIMデータ活用レベルを段階的に引き上げる青写真を描く。初弾となるBIM図面審査では、BIMデータから出力したPDF形式の設計図書に加え、補足情報として建築物を3次元で表示できるIFCデータの提出を求め、CDE(共通データ環境)上で各種データを審査していく。
入出力基準というルールに沿って作成したBIMデータからの出力図面は審査時の整合性確認が一部省略されるほか、参考提出されたIFCデータを使うことで形状の伝達も以前より円滑になる。「審査期間の短縮が目的の一つだが、審査の効率化に加え、確認申請時にBIMデータを審査する起点を置くことで、建築生産プロセスを通して一貫してBIMを活用できることにも価値を見いだしてほしい」と付け加える。
国が目指す建築DXは「手続きの電子化」と「BIMの普及」を重点テーマに置いている。その副次的な効果として期待するのが「データの利活用」であり、三つ目の柱として位置付けている。「これを後押しする効果的な一手がBIM確認申請であり、建築生産のデジタル化を浸透させる上での起爆剤になる」と先を見据えている。
佐々木氏は、BIM図面審査を3年後に控えるBIMデータ審査への「一里塚」と強調する。「最初は戸惑う場面も出てくるかもしれないが、新たな枠組みに申請者、審査者ともに慣れてくれば、想定以上の活用効果を発揮することができる」。この思いは、官民が一体となってBIM図面審査への環境整備を念入りに進めている自信の表れでもある。
連載 BIM確認申請元年(1)/(2)
この記事は建設通信新聞からの転載です