20代、30代が企業の枠を超えてBIMの未来を考えるイベント「BIM IDEATHON(アイデアソン)」が、2025年7月23日に東京都千代田区の大塚商会ホールで開かれた。設計事務所、ゼネコン、設備工事会社などから総勢64人が集まり、日頃の業務でBIMに取り組む中で感じている思いを共有し、BIMが進むべき未来について大いに語り合った。同イベントは7年ぶり。BIM確認申請が動き出すなど、日本のBIMが新たなステージに踏み込むタイミングでの開催となった。

発起人は、古川智之久米設計設計推進本部DX室室長、山本敦東畑建築事務所構造設計室D×デザイン室主管、安井謙介日建設計テックデザイングループBIMマネジメント部アソシエイト、大越潤清水建設生産技術本部建設DX基盤部リエンジニアリンググループ長の4人。2018年に開かれた前回の主要メンバーが立ち上がった。

冒頭、発起人を代表してあいさつした古川氏は「この場に参加しているのは次代を担う人たちである。BIMを取り巻く環境が大きく変化する中で、若い世代同士で現在と将来像のギャップを考え、次のステップを踏み出すきっかけにしてもらいたい」と強調した。グループ討議の前に現在のBIMを取り巻く現状を解説した山本氏は「企業それぞれでBIMに取り組む人たちがどういう考え方をしているかを知る良い機会になる。この場を通じてネットワークもつくってもらいたい」と呼び掛けた。
前回は、他業種で進むデジタル改革からの学びを軸にBIMの未来を議論したが、今回はBIM確認申請が動き出すなど、BIMデータ活用の流れが大きく広がるタイミングを踏まえ、次代を担う20代、30代の視点から今後のBIMを考えることをテーマに置いた。安井氏は「若手だけでBIMを考える場を初めて実現した前回はとても反響が大きかった」と当時を振り返るとともに、今回は「次代を担う若手に進みゆくBIMの未来を自分なりに考え、積極的にアイデアを出し、活発に意見交換してほしい」と語った。
グループ討議では、参加者が8グループに分かれ、「BIMやDX(デジタルトランスフォーメーション)におけるギャップとは」「ギャップを乗り越えるために必要なもの」「進みゆく先のBIMの未来とは」という3テーマで意見を交わした。企業や業種の違う者同士でグループが構成され、それぞれの視点から意見を出し合い、代表者がグループとしての考え方を発表するスタイルで進行した。
BIMが今後発展していく上での視点として「作る側と使う側をつなぐ新たな職能が必要」「何を目指してBIMをやるかを明確化し、その前提で教育についても結びつけるべき」「それぞれの立場や役割ごとにBIMのメリットやデメリットを示すことが大事」など多くの意見が上がった。
BIMの未来を見据えた各グループの考え方としては「建物人格AI(人工知能)と対話して設計する」「ライブ感の中でデザインが生まれる仕掛け」「設計図書はなくなり、それぞれの見たい情報をBIMの中で見ていく」「情報をAIがかみ砕いて設計が進む」「メタバース専門の新たな職能の登場」「すべての情報をBIMにとり込む」「ゲーム感覚で触って楽しむBIM」などのアイデアが示された。
イベントは4時間にも及んだ。発起人を代表して大越氏は「若手が中心になり、自分事として考え、未来を見据えていくことがBIM IDEATHONの目的であり、今日のような夢のある議論を皆で語り合うことが何よりも大切」と結んだ。参加者64人にとっては、BIMへの向き合い方が大きく変わる“節目”の日になった。