BIM図面審査

吉川建設が長野県内で済証交付の第一号に 
中堅中小の先行事例

 4月から建築確認の新たな制度としてスタートしたBIM図面審査の動きが徐々に広がりつつある。長野県内では、飯田市に本社を置く吉川建設が6月2日に日本ERI松本支店から工場プロジェクトで済証の交付を受けた。県内では第一号とみられる。吉川建設は今月に別のプロジェクトもBIM図面審査を活用して申請する予定で、今後はBIMで実施設計する案件では原則としてBIM図面審査を適用していく方針だ。

(仮称)Yシートメタル工場の完成予想

 済証の交付を受けたのは、吉見鈑金製作所が長野県上田市に計画しているS造2階建て延べ2104㎡の(仮称)Yシートメタル工場。同社は入出力基準に基づいてBIMソフト「Archicad」の意匠モデルから出力したPDF図面とIFCデータを4月初旬に提出し、約2カ月の審査を経て済証の交付を受けた。

 従来の2次元図面による審査では、審査側が建物の立体形状を読み解くために時間を要し、形状に関する質疑応答などの対応が大きな負担となる。BIM図面審査は、BIMモデルから出力した図面とIFCデータを参照することで、審査側が3次元モデルから任意の平面や断面を自由に抽出して直感的に建物の形状を理解できる。関係機関の図面理解が円滑になり、図書間の整合性確認の一部省略が可能となるなど、審査プロセスの効率化が期待されている。

 BIM図面審査の国内第一号は4月7日付で竹中工務店が申請した事務所ビルが日本ERIから済証を受けており、これ以降はBIM導入を進めている大手・準大手クラスのゼネコンや設計事務所を中心にBIM図面審査の申請が広がりつつある。吉川建設の動きは中堅中小クラスでの先行した動きとして注目される。

 吉川建設は2023年度からBIMを活用した申請図面作成に取り組み、継続的なテンプレート整備や業務フローの改善を進めてきた。国際的なBIMスキルを証明する「buildingSMART プロフェッショナル認証」の有資格者数が長野県内で最多となるなど、高度なBIM人材の育成にも組織的に注力している。

 今回、社内の専門人材と蓄積された知見を最大限に活かすことで、BIM図面審査へいち早く適用を実現した。さらにBIMモデルが持つデータを確認申請の書類へと直接連携・自動転記する仕組みを構築したことで、これまで手作業で発生していた作業負担を解消し、申請業務の大幅な効率化と入力ミスの防止を実現したという。

 具体的には、BIMテンプレートの独自改良に加え、BIMデータと確認申請書の連携機構の構築や、AIを活用した申請支援アドオン(β版)の開発・適用にも取り組んだほか、室情報(ゾーン)への寸法情報の自動入力や確認申請書(Excel様式)への自動転記も開発した。

 今後は、社内におけるBIM図面標準化やBIM技術者の体制整備をさらに進めるとともに、BIMとAIを掛け合わせ、より高度で付加価値の高い建築プロセスの実現にも取り組み、手続きのさらなる効率化を推進し、将来的には確認申請に係る時間の更なる短縮を目指すという。

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