清水建設

BIMから3次元FEM解析モデルを自動生成 
作成期間を1カ月超から3日へ短縮

 清水建設は、BIMデータから高精度な3次元FEM(有限要素法)解析モデルを自動生成する「BIM-FEM連携システム」を開発した。BIMに含まれる部材形状や材質、配筋情報を自動解析し、地震時の建物挙動を高精度にシミュレーションできる解析モデルを生成するもので、従来1カ月以上かかっていたモデル作成期間を約3日まで短縮する。BIMと構造解析を直接結び付けることで、防災・BCP分野におけるデジタルツイン活用も視野に入れる。

BIM-FEM連携システムの処理イメージ

 近年、建設業界では労働力不足への対応やDX推進を背景に、BIMを中心としたデジタル活用が広がっている。一方、自然災害の激甚化を受け、建物の被災リスク評価や安全性検証の重要性も高まっており、地震時の挙動を詳細に解析できる3次元FEM解析への期待が高まっている。

 しかし、3次元FEM解析モデルは、設計図書やBIMデータを参照しながら技術者が手作業で作成するケースが一般的で、膨大な建物情報を解析用データへ変換する必要があることから、作成には1カ月以上を要することも珍しくない。この作業負荷が、高精度シミュレーションの普及を妨げる大きな要因となっていた。

 BIM-FEM連携システムはBIMデータに格納された部材形状や材料情報、配筋情報を自動的に解析モデルへ変換し、建物全体の3次元FEM解析モデルを自動生成する仕組みだ。これにより、解析モデルの作成期間は従来の1カ月以上から約3日へと大幅に短縮され、高速化と省人化を実現した。

 さらに、BIMデータと解析モデルが連携することで、設計変更が発生した場合でも最新情報を解析モデルへ反映できる点も大きな特徴である。設計変更のたびに解析モデルを作り直す負担を軽減し、常に最新の設計情報を基にシミュレーションを実施できるため、設計検討やリスク評価の精度向上につながる。

地震時の内部損傷予測結果(ひび割れ歪分布)

 解析結果は、建物全体の地震応答だけでなく、部材内部の損傷状況まで可視化できる。性能検証では、最大応答加速度やひび割れひずみ分布などを詳細に再現し、高精度な地震応答解析が可能であることを確認した。

 同社は今後、システムを建物の安全・安心を支えるDXソリューションとして活用し、構造シミュレーションに基づく補強計画や改修設計の最適化、建物所有者のBCP(事業継続計画)支援へ展開していく考えだ。

 将来的には、建物に設置した各種センサーから取得するリアルタイムデータとBIM、本システムによる構造シミュレーションを連携させ、災害発生直後に建物の被害状況を即時予測できるデジタルツインの実現を目指す。

 BIMを設計・施工のための情報基盤から、防災・維持管理・BCPまで支えるシミュレーション基盤へ発展させる取り組みとしても注目される。4月からBIM図面審査が始まり、29年春からはBIMデータ審査への移行も予定されている中、BIMデータを解析やデジタルツインへ活用する動きは今後さらに加速するとみられる。このシステムは、その流れを象徴する技術の一つとなりそうだ。

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