コマツの目線

グローバルレベルでAI活用加速 
バリューチェーン全体の経営基盤へ展開

 コマツが各事業で進めてきたAI活用をグローバルレベルで本格展開するため、推進体制を強化した。開発、生産、販売、サービスまでバリューチェーン全体でAI活用を加速し、業務変革と顧客価値の向上を目指す。AIを効率化ツールではなく、経営基盤へと発展させる取り組みとしても注目できる。同社の目線を追った。

グローバルAI活用体制のシナリオ

 これまでは建設機械の稼働管理システム「Komtrax」、工場稼働状況可視化システム「KOM-MICS」、無人ダンプトラック運行システム(AHS)、施工DXソリューション「Smart Construction」などを通じてICTとデータ活用を推進してきた。これらから蓄積された機械稼働データや施工データ、現場ノウハウをAIと組み合わせることで、新たな価値創出を図る。

 AI活用の取り組みは2023年度からグローバル規模で進められており、各地域で実証や活用事例を積み重ねながら、ワークショップや定期会議を通じて知見を共有してきた。こうした活動を基盤に、2027年以降にはグローバルCoE(Center of Excellence)の構築を目指す。

 日本国内では2026年4月にAI活用を推進する中核組織を整備し、5月には約500人規模のAI推進リーダーを任命した。各部門の現場課題をAIで解決するとともに、成功事例を全社へ展開する体制を構築する。また、全社員を対象としたAIリテラシー教育に加え、情報セキュリティやリスク管理体制の整備も並行して進める。

開発・生産・保守でAI活用が進展

 AIはすでに各事業領域で具体的な成果を上げている。

 ソフトウェア開発では、コード生成やレビュー、テスト作成などに生成AIを活用し、開発効率と品質向上を推進。生産現場では「KOM-MICS」のデータとAIを組み合わせ、異常検知や予知保全、画像認識による設備・作業者・資材のリアルタイム把握を実現し、生産計画の最適化につなげている。

 サービス分野では、整備士や販売代理店向けにAI Botを導入。サービスマニュアルや技術文書を横断検索し、自然言語で必要な情報を取得できる仕組みを構築している。現在、日本、米国、欧州、豪州、中南米で活用されており、アジアや中東、アフリカへの展開も始まっている。

 さらにKomtraxを通じて蓄積した膨大な機械稼働データをAIが解析し、部品寿命の予測や異常検知、最適なオーバーホール時期の推定にも活用。機械の稼働率向上や保守コスト削減、代理店による予防保全提案の高度化を支援している。

AIを経営基盤へ、建設DXをさらに推進

 今回の発表は、AIを個別業務の効率化ツールとしてではなく、現場で蓄積されたデータと知見をグローバル全体で共有・活用する経営基盤へと発展させる取り組みと位置付けられる。

 建設業界では人手不足や熟練技術者の減少が深刻化する一方、建設機械や施工現場から取得されるデータは急速に増加している。こうした状況の中、AIによってデータを価値へ転換することが、建設DXの競争力を左右する重要なテーマとなっている。

 同社は今後、バリューチェーン全体でAI活用をさらに広げ、世界各地で蓄積される実践知を共有・横展開することで、製品・サービスの高度化と顧客価値の向上、さらには建設業界が抱える社会課題の解決につなげていく考えだ。

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