福井コンピュータの挑戦

デジタルツイン核に次世代建設DX基盤を開発 
今年度中にファーストリリースへ

 福井コンピュータは、建設業界のDXを加速するため、デジタルツインサービスを中核とした新たなシステム群の開発に着手した。2026年度中のファーストリリースを予定しており、次世代点群システム、次世代3DCADシステム、そしてクラウド型デジタルツインサービスを順次市場投入する。

 建設業界では、担い手不足やインフラ老朽化への対応に加え、国土交通省が推進するi-Construction 2.0により、生産性向上と省人化への取り組みが加速している。BIM/CIMの原則適用やデジタルツイン活用もその流れの中にあり、建設データをどのように活用するかが新たな競争力となりつつある。

 同社は、従来のローカルアプリケーション中心の開発から一歩進み、クラウドとAIを活用したデジタルツインプラットフォームの構築へ舵を切る。描く将来像は、設計データ、点群データ、写真、動画など工事に関連するあらゆる情報をクラウド上で統合し、現実空間を高精度に再現したデジタルツイン環境を構築することだ。

 新たなデジタルツインサービスでは、次世代点群システムや次世代3DCADシステムで作成したデータに加え、ドローンや360度カメラで取得した画像から生成した点群や3D Gaussian Splatting(3DGS)データを統合表示する。

 近年、建設業界でも3DGSへの注目が高まっている。点群やメッシュモデルでは表現が難しかった現場のリアルな質感や細部の再現が可能になるためだ。同社は単なるビジュアライゼーション用途にとどめず、設計モデルや属性情報と統合することで、現場の状況把握や関係者間の情報共有を高度化しようとしている。

 クラウド上に集約されたデータはURL一つで共有でき、高性能なワークステーションを持たない利用者でもWebブラウザからアクセスでき、計測や注釈機能も搭載され、遠隔地との合意形成や施工管理への活用が期待できる。

 特に注目されるのは、AIを本格的に組み込む点だ。次世代点群システムには、AIによる点群編集や断面トレース支援機能を搭載し、膨大な点群データの処理を効率化する。

 次世代3DCADシステムでは、AIによる3D設計データ作成の一部自動化を実装予定としており、将来的には2D図面から3Dモデルを自動生成する機能や、設計・施工支援のための建設業特化型AIの実装も視野に入れる。

 BIM/CIMの普及が進む一方で、3Dモデル作成の負荷は依然として大きな課題となっている。AIによる支援が実用レベルに達すれば、BIM/CIM活用の裾野拡大にもつながりそうだ。

 デジタルツイン環境で構築された3Dモデルやシミュレーション結果はXR技術とも連携する。現場での施工確認や安全教育、維持管理業務において、デジタル情報を現実空間へ重ね合わせることで、新たな活用方法を提案する。APIを公開し、他社が提供するXRデバイスや3Dスキャンソリューションとの連携も進める方針だ。これにより自社ソフトウェアの利用者だけでなく、多様なパートナー企業を巻き込んだ建設DXプラットフォームの形成を目指す。

 同社の構想は、単なるソフトウェアのバージョンアップではない。点群、3Dモデル、3DGS、AI、XRという近年急速に進化しているデジタル技術を一つの基盤上で統合し、建設生産プロセス全体をつなぐことが狙いだ。2026年度のファーストリリースではどこまで実装されるのか。国産建設ソフトウェアベンダーとして長年業界を支えてきた同社の次なる挑戦に注目が集まりそうだ。

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