戸田建設は、再生可能エネルギーの普及拡大に伴い注目されるVPP(バーチャルパワープラント)事業の実現に向け、ユーラスエナジーホールディングスと共同で実証実験を開始した。実証は茨城県つくば市にある戸田建設の筑波技術研究所で実施され、需要家側蓄電池と空調設備を活用したエネルギーマネジメントの有効性を検証する。

VPPは、建物や工場などに分散して設置された蓄電池や設備機器を統合的に制御し、一つの発電所のように機能させる仕組み。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力需給の調整手段として期待が高まっている。
今回の実証では、戸田建設が施設内の電力需要予測や空調設備制御を行う「建物クラウド」を新たに開発し、ユーラスエナジーが運用する総合VPPプラットフォーム「ReEra」と連携させ、需要家側蓄電池に加え、建物内で大きな電力消費を占める空調設備もVPPリソースとして活用し、電力市場での経済性や制御性能を検証する。
注目されるのは、空調設備を用いたデマンドレスポンス(DR)機能の構築だ。電力需給が逼迫した際には消費電力を抑制し、需給調整に貢献する一方、DR指令がない時間帯には省エネルギー運転に活用することで、同一システム上で省エネと需給調整を両立させる。
戸田建設はこれまで培ってきた建築設備やエネルギーマネジメントの知見を活かし、利用者の快適性を維持しながら最適な空調制御を行う。一方のユーラスエナジーは系統用蓄電池事業で培ったノウハウを活用し、蓄電池の最適運用を担 う。
実証は段階的に進められ、2026年度は電力計測環境の整備と空調設備制御の検証を実施し、2027年度には新たな研究施設へのシステム展開と蓄電池導入を行う。2028年度以降は、蓄電池と空調設備を統合制御し、実際の電力市場への参入を目指す。
建設業界ではZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やスマートビルの取り組みが進む中、建物を単なる電力消費施設ではなく、電力需給を支えるエネルギーリソースとして活用する動きが加速している。戸田建設とユーラスエナジーは今回の実証を通じて、建物の価値向上と脱炭素社会の実現に向けた新たなエネルギーソリューションの確立を目指す。
戸田建設のプレスリリースはこちら