佐藤工業

統合モデルが合意形成の有効手段 
Catenda Hubが現場つなぐ

 「統合モデルの干渉個所をひとつずつ潰してきた効果がこれから如実に表れてくるだろう」。愛知県江南市のごみ処理施設建設工事の現場を指揮する佐藤工業・昭和土建・松岡建設JVの辻潤一作業所長はプラント工事の本格化を見据え、手応えをつかんでいる。現場は隔週ペースでBIM調整会議を開き、CDE(共通データ環境)プラットフォーム『Catenda Hub』上で統合したBIMモデルの整合性を踏まえながら設備配管やプラント本体との細かな納まりを確認している。「モデル調整役のBIMマネージャーがいなければ、現場は順調に進んでいない」と明かす。

左から佐藤氏、辻氏、石原氏

 このプロジェクトは、既存2施設を統合して新たなごみ処理施設を整備するもので、土木建築工事を佐藤工業・昭和土建・松岡建設JVが担当しており、造成工事などを経て2024年5月から本体工事がスタートした。現場は躯体が順調に立ち上がり、6月からプラントの先行工事が動き出そうとしている。

 辻所長にとってごみ焼却場の工事は初めての経験だった。佐藤工業では環境プラントやアリーナなどを建築事業の中核分野に位置付けており、本体工事前に社内の環境プラント工事経験者を集めたワーキングループを組織し、現場運営や対策箇所のポイントなどを情報共有する取り組みを講じてきた。「私がこれまで運営した現場ではグローバルBIMに協力してもらう形で、BIMモデルを利活用してきたが、ここでは工事調整がより複雑になることを踏まえ、Catenda Hubの活用を決めた」と付け加える。

 Catenda Hubは、プロジェクト参加者が日頃愛用するCADソフトから出力したIFCデータの連携環境を構築できる。現場ではグローバルBIMの担当者がBIMマネージャーとなり、IFCデータから統合化したモデルの干渉部分を洗い出している。

会議での検討課題項目数は1000を超える

 BIM調整会議にはオンラインも含め毎回10人ほどが参加する。現場の監理技術者である佐藤喜幸氏は「統合モデルが合意形成の有効な手段になっている」と説明する。本体工事のスタートから1年余りで、会議で示された検討課題項目(トピック)数は1000を超えた。「トピックを共有し、翌週までに改善策をそれぞれが提示することがいつの間にかルールになっている」と付け加える。

 トピックが完全にクリアされるとモデルはクローズ(確定)になり、サブコンなどにモデルからの出力図面が提供される。設備担当の石原直人氏は「Catenda Hubがなければ満足な施工ができない。このスキームが確立しているからこそ、手戻りを最小限に押さえられている」と強調する。サブコンとして現場に参加するシブヤパイピング(名古屋市)の吉津敏幸氏は「われわれ設備工事が本格化する際にはプラント工事との納まり調整が必要になる。統合モデルがあることで作業の優先順位も組みやすくなるだろう」と考えている。

現場はこれからプラント工事の施設内先行作業が始まる

 プラント工事は6月から施設内の先行作業が始まり、10月をめど目途に炉室の作業工程に入る。同時並行で施設の設備配管工事なども一斉に動き出す。辻所長は「事前に統合モデルで詳細な検討ができる効果は大きい」と語る。Catenda Hubには現在70人を超えるプロジェクト関係者がアクセス権限をもつ。設計変更のたびに関連工事を微調整する必要があるため、クローズしたトピックを再度検討せざる得ない状況も出てくる。「そこが作業が錯綜するこの現場の難しさ」と関係者は口を揃える。

 躯体工事が進む現在は100人ほどの作業員が現場に入っているが、プラントや設備工事が最盛期を迎える際には300人規模にも達する見通し。「統合モデルを管理するBIMマネージャーの存在の大きさを日々実感している」という辻所長の言葉は、BIM調整会議の参加メンバー全員の思いでもある。

この記事は 建設通信新聞 特集「BIM2026」からの転載です

記事トレンド把握のため、気軽に押して下さい

トップに戻る