XENCE(名古屋市)が名古屋大学から「名古屋大学発ベンチャー」の称号を授与された。デザインのみならずコスト、環境負荷、資材使用量、施工条件などを同時に可視化しながら、それぞれを目的に応じて調整可能な動的設計プラットフォームの構築を進めている同社は木造躯体モジュールの開発・実装にとどまらず、標準型モジュール建築物や、中大規模木造建築物へと事業領域を拡大していく方針だ。
同社はパラメトリックな自動設計とデジタル加工技術を活用し、建築に用いる素材とデザインの可能性を拡張することで、サーキュラーエコノミーに根差した建設業を目指すスタートアップとして「ジェネレーティブコントラクト」を提唱している。
これはデジタル技術を介して、建築主、素材サプライヤー、設計者、施工者が有機的につながり、より合理的で持続可能な建築を実現するデジタル技術に根差した建築プロセスとサプライチェーンの考え方で、従来型の一方向的な発注・施工の構造から、素材調達・デザイン・施工・運用における情報やデータを、建築主・素材サプライヤー・設計施工者とデジタル技術で共有しながら動的に最適解を更新していく新しい建築プロセスへと変革することを目指している。

この構想の中核にあるのが、自動化・パラメトリック化された設計・施工・運用モデルであり、デジタルツール、プログラミング、AIなどを活用して構築している。そのパイロットプロジェクトの一つとして「サーキュラー木造温室」を具体化した。製材所で活用されてこなかった木材を使用可能にする木造躯体モジュールを開発し、未利用木材を新たな建築資源として位置付け、性能と生産性を両立しながら、地域に存在する資源をより高い価値へと転換する試みだ。

さらに竹中工務店、シモダフランジとの共同プロジェクトとして「wood x node」を発表しており、このプロジェクトでは建築のジョイント部分にマスカスタマイゼーションとの親和性が高い金属3Dプリンターの建築における利用性を追求し、多様な形状の木質構造体を支える接合部の新しい可能性を提示した。建築における接合部の自由度を高めることで、従来よりも多様な形状や条件に対応可能な木造建築の実現を目指している。
現在、欧州を中心に、建築分野ではサーキュラーエコノミーやエンボディードカーボン低減についての制度化や市場要請が進みつつある。建築物の環境性能が、資材調達、投資判断、さらにはカーボンクレジットを含む経済活動とも接続されていく中で、設計段階から資源利用や環境負荷を精緻に扱う必要性は今後さらに高まる。
XENCEはこうした世界的な潮流に対応し、日本国内にとどまらず、海外物件も視野に入れた建設業の最適化を行う技術やビジネスモデルの革新を進めていくという。
XENCEのプレスリリースはこちら
