BIMedia編集部

コラム 「縦軸と横軸の重要度」

 2025年度は、BIM普及への環境整備に向けた大忙しの1年だった。BIM図面審査への準備に加え、設計・施工・維持管理間の横断的なBIMデータ活用の円滑化に向けた議論も大きく進展した。「建築分野におけるBIMの標準化ワークフローとその活用方策に関するガイドライン」も3年ぶりに改訂され、第3版が示された。

 国の建築BIM推進会議が目指すBIM普及に向けた全体像を理解する上で、建築生産の流れに沿って「縦」軸と「横」軸の連携を進展させるポイントを示した図が、とてもわかりやすい。

 建築物は、設計から確認申請、施工、完了検査を経て完成し、維持管理・運用段階に移行する。図の①はBIM確認申請の部分になり、この4月からBIM図面審査がスタートし、29年春からはBIMデータ審査に移行する。制度化によってBIMデータを活用したルートが新たに生まれる期待は大きい。

 図の②が記すように設計と施工、施工と維持管理の間に連携の流れを確保することで、建築生産における「横」軸としての糸はつながる。これによって設計と施工で使われていたBIMデータが維持管理段階にも引き継がれる流れが整う。図の③はFM段階でのBIMデータ活用の流れを促進する意味合いをもつ。いわば建築ストックに対するBIMデータの標準化に向けた議論につながり、この「横」軸の形成が建築資産としての価値とBIMの関わり方をより強める。

 では、図の④が示す「縦」の軸は何を意味するか。これは、わが国の建設業が形成する重層構造とBIMの関係性をつなぐ流れになり、建築プロジェクト関係者のそれぞれがBIMデータとどう向き合うかということを指し示す。

 設計領域の「縦」軸連携では、意匠設計、構造設計、設備設計の各専門領域の事務所や社内部門がBIMでつながる流れに加え、外注先となる図面製作専門の協力設計者におけるBIM対応が求められる。施工領域も同様だ。下請企業のBIM対応がどう進むかを示しており、専門工事業のBIM利用促進に直結する。

 ゼネコンが施工BIMに取り組む中で、なかなか成果が上がらない課題の1つとして、協力会社側がBIMに対応できないため、2次元と3次元のデータが混在してしまい、元請企業としてBIMの運用がより複雑になってしまうケースがある。協力会社にしても元請企業ごとに異なるBIM対応を迫られる大変さもあり、BIMが生産性向上の足かせになっている。

 設計段階と施工段階における「縦」軸連携の難しさが、実は「横」連携の円滑な流れを阻害する要因の1つになり兼ねない。制度上の課題解決よりも、むしろ業界の伝統的な枠組みの中でBIMをどう定着させるかが取り組むべき課題の1つであり、国がBIMを軸に成長戦略を描く上で、建築生産システム自体の根本的な議論も必要になってくる。(西原一仁)

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