連載 発注者CDEの最新動向セミナー(下)

中日本高速道路 石田篤徳氏 
データ中心の働き方に変える

 日刊建設通信新聞社のセミナー「発注者CDEの国内外最新動向」では、京都大学成長戦略本部インフラ先端技術コンソーシアムシニアフェローの福地良彦氏、国土技術研究センター技術・調達政策グループ総括の早川潤氏、中日本高速道路技術本部 環境・技術企画部技術企画課専門副主幹(インフラDX担当)の石田篤徳氏が登壇し、発注者CDEのあり方と受注者CDEの方向性を述べた。3氏の講演を連載で紹介する。

 第3回目は「NEXCO中日本におけるBIM/CIMの取組みとCDEの活用」をテーマに講演した石田氏にスポットを当てた。

中日本高速道路 石田篤徳氏

 NEXCO中日本では生産性向上の取り組みとしてi-Constructionを全面展開しており、その柱として「ICT施工」による現場施工のオートメーション化、「BIM/CIM」によるデータ連携のオートメーション化、そして「遠隔臨場・プレキャスト化」による施工管理のオートメーション化を位置付けている。

 その中でBIM/CIMについてはデータ連携のオートメーション化を実現するため「情報のデジタル化」「3次元モデルの作成と活用」「共通データ環境(CDE)の利用」に取り組んでおり、2025年7月から全面適用を開始した。

 当社ではCDEプラットフォームとしてオートデスクの建設クラウドプラットフォーム『Autodesk Construction Cloud(ACC)』を使用している。CDE活用ではデータのやり取りを効率化するため、情報共有の全てをCDE上でやり取りすることが重要で、そのためにもまずは「情報のデジタル化」が欠かせない。

 3次元モデルは作成することが目的ではなく、活用することが求められる。設計初期の段階で概略モデルを作成し検討ツールとして、しっかり使うことが重要だ。受注者には協議の場などで発注者への説明ツールとして活用することや、われわれ発注者も地元や関係機関との協議にも自らモデルを使っていくことが合意形成の有効な手段になる。

 当社がCDEの活用に踏み切った背景には、大きく2つの理由がある。1つは関係者が常に同じ情報をみることができる状態を実現したいためであり、これまでの紙ベースでは受け渡しに時間がかかる上、目的のデータにたどり着けずにいた時間的ロスもあった。

 もう1つは測量・調査・設計・施工・維持管理という各フェーズ間のデータを授受する際、CDEを活用し受け渡したいと考えているためだ。それにより各工程をまたぐ際のデータ受け渡しの手間や労力を軽減できると考えている。CDE上にデータがあれば、われわれも容易に参照ができ、データ管理やバージョン管理の問題もクリアできる。

 25年7月のBIM/CIM全面適用から新規に発注する工事や調査等はCDEを原則利用する。契約済みの工事や調査については協議の上、利用可能としている。導入状況を見ると、同年8月調査では導入件数が132件(工事103件、調査など29件)、導入率が39%であり、これが同年11月調査では210件(工事160件、調査など50件)で、導入率は43%となった。CDE活用の社内研修を進めてきた中で、CDEの効果を実感したことが利用の増加につながったと考えている。

 CDE利用者の中では65%が業務の効率化を実感している点も見逃せない。受注者と発注者のコミュニケーションをメールや電話から、CDEに変えていくことで、より高い効果を引き出すことができると考えている。

 現在はわれわれ発注者のCDEの中に、受注者が参加する体制をとっているが、将来的には受注者のCDEと連携する可能性もある。当社はBIM/CIMを軸にデータ中心の働き方に変えていく。BIM/CIMデータを利活用するためにも、CDEプラットフォームが不可欠であり、受注者、発注者の双方が足並みをそろえ、取り組むことが重要になる。

連載 発注者CDE最新動向セミナー()()(

この記事は建設通信新聞からの転載です

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