BIM図面審査のスタートが一週間後に迫った。申請用CDE(共通データ環境)サービス「ArchSync」を運営する建築行政情報センター(ICBA)のBIM審査ポータルサイトには、このほどBIM図面審査の対応機関情報がアップされた。現時点で8確認検査機関、2特定行政庁がBIM図面審査に対応する。消防同意事務については69機関が名乗りを上げた。
徐々にBIM図面審査への受け入れ体制は整い始めつつある状況だが、申請者側の反応はやや消極的な印象が漂っている。一部の組織設計事務所やゼネコンの中には4月の申請にタイミングが合うプロジェクトを抜粋し、確認検査機関側に事前相談する動きはあるものの、総じて様子見の状況が広がっているというのが取材を通した率直な感想だ。
BIMソフトベンダー各社ではBIM図面審査への対応機能を新設するなど前向きな対応が広がっている。ユーザーからの具体的な問い合わせも多く、BIM図面審査に向けたオンラインセミナーを積極的に開催中だ。セミナー参加者も数多く集まり、一定程度の関心の高さが浮き彫りになっているとの見方をソフトベンダー各社は持っている。
日本国内では2009年のBIM元年を契機にBIM導入の流れが広がり始めた。この動きをさらに進展させるため、確認申請のBIM対応は検討されてきた。社を挙げてBIM導入に乗り出す企業は大手クラスだけでなく、中堅や地域で活動する企業にも広がりを見せている。BIMで設計した成果が確認申請に引き継がれる流れが整えば、建築生産全体として円滑な流れが実現できる。国も建築分野のDX化を推し進める上で、BIM確認申請の定着を重要なテーマに位置付けている。
企業にとってもワークフローの中に確認申請を含めたBIMデータ構築の流れを構築することができれば、業務効率化をさらに引き上げるきっかけになる。2026年4月という節目が示されたことで企業のBIM推進担当は社内のBIM普及の追い風になればという思いを以前から強く持っていただけに、BIM図面審査への思いは人一倍強い。
悩ましいと考えているのは、設計者自身だ。企業の中には4月のタイミングで確認申請するプロジェクトの担当者に対してBIM図面審査への挑戦を呼び掛ける動きが見られる。BIM推進組織が後押してくれる安心感は持っているものの、初めてのことにチャレンジする戸惑いは隠せない。社を挙げてBIM導入を推し進めている企業でも、全員がBIMを使いこなす状況に至ってない。BIM図面審査に様子見という状況が拭えないのも、そうした状況があるからだろう。
デジタル化したのに、余計に忙しくなった。企業が建設DX戦略に乗り出す中で、こうしたJカーブ現象に直面するケースは少なくない。デジタル化の効果が出てくるまでは少し時間がかかる。苦労する時間は当然あり、それを克服してこそ、ようやく成長曲線の大きな伸びが期待できる。29年春にはBIMデータ審査が控えている。3年後を見据える意味でも、様子見では何も始まらない。新たな力強い一歩を踏み出してみよう。(西原一仁)
コラム 「新たな一歩を踏み出そう(2)」
コラム 「BIM経営計画」
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