BIMのトレンドとは何か。「BIM元年」の2009年から、今年で17年目を迎えようとしている。3年後の2029年は20年の節目であり、くしくもBIMデータ審査のスタートに重なる。 将来を見据えて新たな一歩を踏み出す絶好のタイミングであると感じる。
大手ゼネコンや組織建築設計事務所の試行導入をきっかけに、BIMは中小規模の企業にも徐々に広がり始めた。当初は3次元の可視化効果に注目が集まった。従来の2次元ベースのものづくりでは体感できなかった見える化の実現によって、建築主を含むプロジェクト関係者の合意形成が格段に高まり、それが業務の円滑化を後押しした。
3次元形状のモデリング部分に注がれていたBIMのトレンドは、徐々にBIMの中にある情報を利活用する流れにシフトしていく。明確な分岐点があるわけではないが、2020年代に入ると、BIMをデータベースに位置付ける傾向が主流になった。
BIMの力点は「作る」から「使う」に移行し、BIMの中に蓄積した情報をどう活用していくかという流れに呼応するように、DX(デジタルトランスフォーメーション)というワードが世間に広まった。社を挙げて取り組んできた企業はBIMを出発点にDX戦略を描くようになり、BIMはモデリングツールでなく、価値を創出するための基盤ツールとして、その役割を変えようとしている。
企画から設計、施工、維持管理へとつながる建築生産システムの流れの中で、BIMのデータを効果的に使う手段として、CDE(共有データ環境)プラットフォームを構築する動きが広がり始めている。これは生産プロセスを通じて蓄積される様々なデータを管理統合するための受け皿ではあるが、単にデータを詰め込めばいいという訳ではない。
各生産プロセスの情報がきちんと蓄積され、利活用しやすいように整理されて初めて、プラットフォームにある情報が新たな価値を生む糸口になる。モデリングからデータベース、プラットフォームへとシフトしているBIMデータ活用の流れは今、AIという先端テクノロジーの力を借りながら、さらなる進化を遂げようとしている。
重要なのはシステム構築の部分ではない。蓄積した情報をいかに利活用していくか。その目的をしっかりと位置付けることだ。さらなる生産性向上や品質確保はもちろん、省人化、自動化、協力会社を巻き込んだ生産合理化、維持管理への対応強化、新ビジネスの事業化など、その選択肢は多岐にわたる。そのためのワークフロー改革も当然必要になる。
目的を示すことは、企業にとって経営戦略を掲げることである。BIMデータは、経営の事業戦略基盤になろうとしている。これまで同業他社と横並びであったデータ活用の方向性は大きく変わり、企業ごとに色合いを強める。戦略性を秘めたBIM活用の個性が、企業の競争力の源になる。2029年まであと3年。BIM経営計画を立案する絶好のチャンスではないだろうか。(西原一仁)
コラム 「BIM経営計画」
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