連載 関東建設マネジメント(中)

BIM/CIMは技術伝承にも有効 
人財育成に50代技術者も

 関東建設マネジメントでは、2025年度から5年間で計100人の技術者を対象としたBIM/CIMトレーニングをスタートした。初年度の受講者は20人。このうち7人はBIM/CIM技術の業務活用に向けた人財育成のワーキンググループに参加するメンバーとなり、残り13人はBIM/CIMに興味をもつ人財を社内から公募した。

 ワーキンググループのまとめ役を務める企画部企画課の小山和行次長は「20代と30代が中心だが、実は50代の技術者2人が手を挙げてくれたことが、今後の組織運営上で良い効果をもたらすだろう」と期待している。若手技術者はBIM/CIMという新たな設計のやり方には順応しやすいが、技術者としては業務経験がまだ浅い。業務経験が豊富なベテラン技術者がトレーニングに参加してくれたことで「実務に当てはめながらBIM/CIMを効果的に活用する経験者ならではのアイデアをもらうことができる」からだ。

 吉田高樹相談役も「ベテラン技術者はBIM/CIMの動きに対して危機感を強く持っている。仕事そのものを熟知しているだけに、業務を効率化する上でのポイントを見定めながら、BIM/CIMを効果的に活用していきたいという思いが人一倍強い。社を挙げて5年間のトレーニングに乗り出したことで、社内のBIM/CIMに対する意識付けもより強まっている」と受け止めている。

 同社は、国土交通省関東地方整備局が管轄する東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野の1都8県で活動しており、受託業務の9割は発注者支援業務が占めている。原則適用からまもなく3年が経過する中で、近年は受注者が自主的にBIM/CIMに取り組むケースが少しずつ増えており、それに連動するように発注者支援業務でもBIM/CIMに対応せざるを得ない状況が広がる可能性がある。

 発注者側も、BIM/CIMに対して前向きな担当者からは、施工状況を見える化してほしいというような要望が出始めている。社内で定期的に開いている発表会の場でBIM/CIMへの対応事例が増えているのも、そうしたBIM/CIMに対する受発注者間の変化が広がりつつあるからだ。

 国交省では、27年度までに3次元モデルの工事契約図書化、29年度までにはBIM/CIM積算に乗り出す方針を示している。吉田氏は「間違いなく発注者支援業務におけるBIM/CIMデータの活用ニーズは今後さらに高まるだろう。当社としてもBIM/CIM普及に向けて、使命感を持って下支えしていきたい」と強調する。

 同社に限らず建設コンサルタント分野では30代から40代の中堅技術者が不足している。次代を担う若手技術者と、最前線を支えるベテラン技術者をつなぐ中間層不足を補う手段として「技術伝承の視点からもBIM/CIMが有効に機能する」と、両氏は口を揃える。BIM/CIMを活用してベテラン技術者のノウハウをデジタル化する試みも模索し始めた。

 同社が展開する5年間の人財育成でも年度ごとに目的を持って、トレーニングを位置付けている。初年度は積算対応研修、26年度は工事監督支援対応、27年度は管理業務対応などに力を注ぐ。導入を決めたオートデスクのBIM/CIMツールでは土木設計ツール「Civil 3D」の基礎を学んだ上でモデル編集、干渉チェック、施工ステップなどを習得する計画だ。統合モデル管理や、国交省で導入検討が始まったCDE(共通データ環境)活用なども習得し、BIM/CIMニーズに幅広く対応できる人財を育成する。

この記事は建設通信新聞からの転載です

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