連載 BIM/CIM未来図 関東建設マネジメント(下)

BIM/CIM対応力が競争力に 
発注者を先導する役割へ

 関東建設マネジメントは、オートデスクが2025年9月に米国テネシー州ナッシュビルで開いた国際カンファレンス「Autodesk University(AU)」に2人の技術者を派遣した。AUはオートデスクのユーザーが集うイベントで、世界各国から1万2000人が訪れ、日本からは約300人が参加した。

 BIMデータ活用の最新事例に触れた2人は、発注者支援業務を展開する上で「これまでのように発注者の動向を受け身で追うのではなく、発注者の一歩先を進み、BIM/CIMの推進役として積極的に先導することが、社としての競争力にもつながる」と社内に報告した。同行したオートデスク関係者から「発注者支援業務が発注者のかじ取りとなるよう、効果的にBIM/CIMを活用すべきとの貴重なアドバイスを得た」ことも成果の一つとなった。

 「最先端の動きを水平展開してもらったことが社内の大きな刺激になっている」と、吉田高樹相談役は捉えている。自身が専務時代にBIM/CIMの可能性を社内に伝え、それがきっかけになって人財教育が動き出した。「当時から伝えてきたことは目的が何かをしっかりと意識して取り組むことであり、われわれの強みである発注者支援業務をより高度化するためにも、BIM/CIMへの対応力を着実に磨いていく必要がある」と力を込める。

 育成ワーキングのまとめ役を担う企画部企画課の小山和行次長も同調する。「国土交通省が検討を始めた頃から、いずれBIM/CIMの時代が来ると感じていた。測量分野でも3次元計測の流れが一気に進展している。いかにデジタルデータを利活用してより効率的に発注者の支援ができるか、われわれ自身が先導していくことで、それが新たな強みになる」と考えている。

 既に最前線の支店では、担当者が自発的にBIM/CIMに対応している。技術者だけでなく、CADオペレーターの中にも前向きに取り組む姿がある。25年度にBIM/CIMトレーニングを受けている20人のうち2人はCADオペレーターからの参加となった。「前向きにスキルを磨きたいという意識が組織の力になる」と両氏は強調する。

 何よりも重要視しているのは、若手とベテランの融合だ。20代と30代の若手技術者はBIM/CIMを学びながら仕事を覚えていく。50代のベテラン技術者はBIM/CIMを習得しながら業務を通じて若手の指導役を担う。小山氏は「その相乗効果によって、BIM/CIMの流れを引き上げていきたい」と先を見据えている。26年度のBIM/CIMトレーニングも20人を受講対象に位置付けている。吉田氏は「それ以上に手を挙げてくる技術者が出てくるかもしれない」と期待している。今後は受講者が講師役として教育係を担う場面も想定している。

 この7年で同社は組織規模、売り上げとも5割増の成長を遂げている。新卒者は年10ペースで採用し、中途社員は7年間で約140人を数える。これからは土木分野だけでなく、ITスキルをもつ人財の採用も推し進める方針だ。BIM/CIM対応人財を29年度までに100人育成する計画をもつ同社では、組織としてのBIM/CIM対応力を高めることで、受注件数ベースで年10%増、技術伝承の仕組み化による教育コストも年20%の削減を見込めると試算している。同社はBIM/CIMを足掛かりに、成長への力強い一歩を踏み出した。

この記事は建設通信新聞からの転載です

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