4月からBIM図面審査がスタートする。申請する設計者として、それを受け入れる審査者として、そして制度を運用する国としても、受け止め方は様々だ。任意の制度である点で、立場の違いによって捉え方は当然異なる。それぞれの目線の先はどこに向けられているか。BIM確認申請がもたらす意味を考える機会を持とう。
国にとっては7年越しの思いだ。2019年6月に発足した建築BIM推進委員会では産学官が一丸となって、BIM確認申請の枠組みを議論し、その実現に向けて環境整備を進めてきた。一歩ずつ積み上げてきた関係者の目線の先には、着実に進展するBIMの流れをさらに循環させたいという思いがある。
審査者側も前向きに取り組んできた。建築確認業務が民間開放され、確認検査機関は全国の建築需要を下支えしてきた中で、BIMに取り組む企業からの相談を受け入れながら、試行的にBIM確認申請へのチャレンジを進める動きもあった。BIMから確認申請へのデータの流れが整えば、確認検査業務自体の効率化につながるとの期待からだ。
企業のBIM導入の流れは、組織設計事務所や大手準大手ゼネコンなどが牽引してきた。生産性向上の実現は成長戦略の最重要課題であり、生産システム改革を進める上でBIM導入はきっかけとして取り組みやすい手段の1つであった。設計組織であれば意匠、構造、設備をつなぐ統合化の流れ、ゼネコンであれば設計と施工をつなぐ一貫の流れをBIMを旗印に各社は取り組んでいる。
現在、設計事務所がBIMの設計成果を施工者側に引き継ぐケースはほとんど見られない。ゼネコンにとっても設計部門の成果がそのまま施工部門に流れていかない。BIM確認申請が起点となり、企業間や部門間の橋渡しが実現することへの期待が各社のBIM推進担当にはある。
新たな一歩を踏み出す時、何をまず考えべきだろうか。思い描いたイメージを達成したいと考える前向きさもあれば、思うような成果が出なくて苦労するかも知れないという後ろ向きの気持ちも当然出てくる。デジタル化はいわば生産性向上につながる手段であり、デジタル化による業務上の負荷が出てしまうことは本末転倒との思いがあるだけに、BIM確認申請のメリットを踏まえた上で取り組みたいという申請者は少なくない。
明確なメリットを求める声は、審査者側からも漏れ聞こえてくる。需要がどれだけ出てくるか不透明であるものの、一定の受け入れ体制を確保せざるを得ない気持ちも一方で持っている。深刻化する人手不足を補うための省人化や、働き方改革による時間外労働の削減につながる糸口を、申請者も審査者も期待している。
BIM確認申請の数値的な導入効果は明確に掲げられていないが、円滑な流れが整えば必然的に審査期間の短縮効果が生まれる制度設計がなされている。BIM確認申請を起点に、建築生産プロセス全体の流れが整い、建築分野としての生産性向上が実現すれば、それが業界自体の魅力向上にもつながる。
どこに目線を向けるか。目の前ばかりにとらわれず、その先に何があるかをしっかりとイメージしながら、新たな一歩を踏み出してみよう。 (西原一仁)
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