BIMの導入を支える「人材」にスポットを当てると、チームとして、企業として、そして業界としても、取り組むべき課題が見えてくる。設計などのチームではBIMオペレーターが業務の下支え役として、企業内ではBIM推進担当が組織の相談役として、あらゆる要求に対応している。BIMの導入拡大を背景に、BIM人材の活躍の場は広がるばかりだ。
オペレーターはCADソフトの操作スキルを生かしながらBIMソフトへと自らの対応範囲を広げる。実務の領域まで知レベルを高め、業務のコーディネーターとして活躍する人材もいる。BIM推進担当の中には設計や施工の最前線で活動する中で抜擢された人材も少なくない。デジタルスキルを磨き、DX領域までカバーして社内のまとめ役として奮闘するケースもある。
企業の中には、社内資格を位置付ける動きが徐々に見られるようになった。オペレーター、コーディネーター、マネージャーというように順を追ってレベルアップできるような枠組みを設定する企業も多い。BIM資格を創設する流れもあり、企業にとっては社内の独自資格と、外部の認定資格を連携させることで、より実践的で明確な評価軸で資格者を育成できる。
人材流動化の動きは、建設業界も例外ではない。特定の企業にとどまらず、転職や出向などを通じて人材が企業間を行き来する時代の中で、即戦力の人材確保が組織力の維持・向上につながる。人材の好循環が業界自体を成熟させていくように、建設プロジェクトの精度も人材の善し悪しに大きく左右される。経験豊富で柔軟なオペレーターやコーディネーターの確保が円滑な現場運営を支え、それが企業にとっての利益確保の原動力になり得る。
企業のBIM人材募集は絶えない。それだけ建設デジタル化の動きが広がっている裏返しだが、キャリアパスの枠組みが整っていないために、企業側が求める人材と人材側が求める仕事のミスマッチが起こってしまう可能性がある。BIM人材の働き、能力、対応力をきちんと評価すべきとアクションを起こすBIMコンサルティング会社も出てきた。
BIM人材がどのような経験を積み、どのような成果を上げてきたか、その経験値をきちんと評価するキャリアパスの枠組みが整うことは建設デジタル化の流れをより活発にさせ、業界としての生産性向上レベルを格段に引き上げるきっかけにもなる。
生産情報としてのBIMデータはDX戦略の基盤になり、その情報の蓄積や出し入れを担うコントロール役のBIM人材の存在意義は増すばかりだ。キャリアパスの構築とは、単に職域を明確にするだけではない。職能として明確な地位を確立し、それに見合った対価を与えるということだ。建設デジタル化の流れが急速な勢いで広がる今、きちんとした評価軸でBIM人材と向き合う時期に来ている。(西原一仁)
コラム 「フィジカルAIの実現に向けて」
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