東京都市大学が主催するリカレントプログラム「建設業事業承継DXコース」の第1期生となる次代を担う経営者9人が、半年間かけて学んだ計5回の講義をもとにした成果を発表した。デジタル化を足がかりにした具体の成長戦略を紹介し、それぞれが示す事業価値を皆で共有した。

受講したのは信和建設、宝来社、河上金物、エス・アイ・ルネス、マツナガ建設、岡部、長浜機設、松原建設、和賀組の経営者9人。最終発表の場ではこれまでの講義を参考に策定した自社のDX・経営変革計画を公開し、自社の成長戦略と地域建設業の将来像を提示した。
BIMとAIを掛け合わせたシュミレーターを成長戦略の1つとして提示するプランや、BIM対応の子会社をもつなど生産性を向上する手段としてM&Aによるグループシナジー経営の進め方などが紹介された。グループや組織のデータ共有を次代につなぐ手段としてDXを位置付け、属人化からの脱却を推し進める社もあった。
同コースは、経営、DX、継承を3本柱に実務直結型のプログラムを提供し、DXを活用して解決に挑む次世代リーダーを育成するもので、東京都市大と建設DXスタートアップのクラフトバンク(東京都中央区)が創設した。受講した経営者からは「DX推進の目的をきちんと見定め、どのように成長していくかを学ぶことができた」「新たなものに対する意識改革の重要性を改めて認識した」などの声があり、計5回に渡った講義内容が今後の経営に大いに生かされる機会となった。

2月13日に東京都渋谷区のTCU Shibuya PXU(東京都市大学渋谷パクス)で開かれた最終発表会には、講評者として東京都市大から野城智也学長と矢吹信喜特任教授、建設業振興基金から長谷川周夫専務理事、新建新聞から酒井真一編集長が参加した。2025年10月から月1回のペースで展開してきたプログラムでは、講師として矢吹特任教授がBIM/CIMの動きなどを講演したほか、塩谷建設や江口組の先輩経営者が成功体験を披露、東急建設の現場視察なども行われた。
発表会後の講評で、長谷川氏は「DX推進や事業承継は建設業の重要な経営課題であり、地域の実情を加味してそれぞれの企業が特色に応じた対応をする意味の重要性を改めて感じた」、酒井氏は「地域建設業にとっての人のつながりの大切さを実感し、それをデジタルでつなげる部分に人の存在があることがわかった」と感想を述べ、矢吹氏は「このプログラムのコーディネーターの1人として5回に渡る講習会で、大学としてプログラムを行う意義を実感した。DXは表面的な捉え方になりがちであり、根本からどう理解すべきかに力を入れることがデジタル化の一歩になる」と呼び掛けた。

野城氏は「日本建築学会のシンポジウムでも注目されそうな高度な発表内容だった。企業の枠を越えて意見を交わすことの重要性も実感した。今回初めて開催したプログラムとなったが、これからもぜひ続けていきたい」と、来年度の開催に向けた意欲を示して締めくくった。
