BIMedia編集部

コラム「最適化と最適解」

 最適化とは何か。視点の違いによって、その意味合いは大きく異なる。企画・調査から設計、施工、維持管理の建設ライフサイクルの中で、どこを軸に最適化を見いだすか。目的によって、その軸は変わり、それによる成果を導くための筋道も変わってくる。

 設計者は、自らの設計活動をより効率化、円滑化、そして高品質化するためにBIMデータの利活用に活路を見いだす。施工者も同様に生産性向上を実現するためのツールとしてデジタルデータ活用を推し進める。これは自らの生産活動をより良くするための手段としての最適化である。

 成果や目的に対するゴールの見定め方が違うと、デジタルデータの使い方や設定の仕方は大きく変わってくる。自らの生産活動をより良くする目的は、建築物や土木構造物などの成果物をきちんと期日までに納めるためであり、その過程を少しでも効率化するためにデジタル活用の最適解を導く。

 では、維持管理を見据えた場合はどうか。設計や施工時のデジタルデータ活用は生産行為の最適化を前提としたものであり、生産段階で蓄積したデータの多くが維持管理の段階で有効に利活用できる情報であるとは限らない。

 構造物は、単なる箱でなく、様々な使われ方をしてある意味で事業の機能基盤としての役割を担う。建築であればテナント移転や製品製造、集客などを支え、高速道路や鉄道のような構造物であれば交通インフラとしての事業を常に維持する役割が求められ、保守やメンテナンスを常にリアルタイムに進行していく必要がある。

 維持管理段階を前提にデジタルデータ活用を考えた場合、設計や施工の段階から完成後のデータの使われ方を踏まえて、必要な情報を入れ込むことが維持管理の最適化につながる。これはまさに事業主目線の最適解であるが、生産段階の担い手にとっては自らの生産行為では必要のない情報を組み入れるという負担が生じてしまう。

 設計者や施工者という生産者は、どこに目線を向けてデジタルデータ活用の最適解を導くべきか。自分事としての最適化は、最終成果の事業としての最適解につながらない。BIMデータ活用において、CDE(共通データ環境)構築の流れが広がり始めている。何を目的に位置付けるかによって生産目線、事業目線それぞれのCDEの形が出てくる。

 最適化と最適解。これは企業が建設DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む上で考えるべきテーマでもある。視点によって、その考え方は多様に広がる。DXによる事業の価値創造が企業ごとに切り口が異なるのも、最適化と最適解へのアプローチの違いに他ならない。根っこの部分にこそ、デジタルデータ活用の本質がある。(西原一仁)

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