連載 BIM確認申請元年(2)

ICBAが普及の足がかりつくる 
確認申請用CDEの周知へ

 BIM図面審査の普及に向けた実動部隊として、建築行政情報センター(ICBA)内にBIM推進室が発足したのは2025年4月のことだ。組織設計事務所や大手ゼネコンなどから出向者5人を迎え入れ、BIM図面審査の受け皿となる確認申請用CDE(共通データ環境)サービス『ArchSync』(アークシンク)の立ち上げに力を注いでいる。瀬良智機ICBA理事長は「確認申請用CDEへの理解を深めてもらうことが申請者や審査者の不安を取り除き、BIM普及の足掛かりをつくることにつながる」と強調する。


 BIM図面審査では、CDEの中でBIMモデルから出力されたPDF設計図書を審査し、提出されたIFCデータを参考に活用しながら指摘事項の確認や修正も行われる。申請者と審査者の双方にCDE活用の周知とともに、BIM図面審査の活用メリットを感じてもらうことが普及に欠かせない。周知活動の一環として力を注ぐICBA主催のオンライン説明会は計4回を数え、聴講者数は累計で5000人を超える。BIM推進室の各メンバーは建築関連団体やBIMソフトベンダーなどの各種セミナーにも計24回登壇し、延べ3000人近くにBIM図面審査の活用メリットを呼び掛けてきた。


 指定確認検査機関などの審査者にとっては、CDE上でIFCデータを閲覧できることから消防機関や適合性判定機関に対しても建物形状の伝達がしやすくなる。PDF図面にはマークアップの指摘ができ、差分チェックによる図面の変更点把握も迅速化できる。審査自体がオンライン上で進行することによって業務効率が向上するほか、情報管理の統一化が図れることも利点の一つだ。BIM推進室の萩原大地調査役は「15項目にも及ぶアークシンクの機能を使いこなすことで、審査の効率化や迅速化に加え、従来に比べて手戻りの抑制効果も期待できる」と強調する。


 設計者である申請者側のメリットもある。申請者はBIMデータを入出力基準に従って作成することにより、BIMデータから書き出されたPDF設計図書の形状、属性、計算といった記載事項の整合性が確保される。設計者は入出力基準に従って作成したBIMデータからPDF・IFCを書き出し、図書相互の整合性を申告する入出力基準適合申告書を提出することで、申告に基づき該当項目の整合性確認が省略される。敷地面積や建築面積などを算出する求積についても、BIMデータを使った自動集計が可能になり、従来に比べて大幅な時間短縮が実現する。

ICBA関係者ら


 BIM推進室の大門浩之調査役は「初めから入出力基準の全てに適合した完璧なBIMモデルを作成する必要はない」と呼び掛ける。BIM図面審査の制度設計はできる部分から順を追って取り組める枠組みとなる。平面図を使った面積把握を最初のステップとすれば、そこに属性情報を付加して仕上げ表などに活用することが次のステップになる。「無理せず着実にステップアップしていくことをお薦めしたい」と付け加える。


 BIM図面審査の理解促進に向けたICBAの活動を下支えしてきたコンサルティング会社のB&DXは、アークシンクの立ち上げに向けた影の功労者となった。同社の山田将生ダイレクターが「関係者に合意をとりながら物事を前に進めていく段取りの部分が当社の強み」というように、アークシンクの料金設定では同社のコンサルティング力が大いに発揮された。「綿密な料金シミュレーションと地道なコミュニケーションが、主要な審査機関がアークシンクを採用するターニングポイントになった」と、ICBAのBIM推進室の各メンバーは声をそろえる。

連載 BIM確認申請元年(2)/ (1)

この記事は建設通信新聞からの転載です

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