連載 BIMと省エネのあるべき姿(下)

外部データと密接な連携の確立 
情報のマッピング定義へ

 オートデスク主催の「グリーンビルディング」をテーマにしたラウンドテーブルには、環境シミュレーション系ベンダーとしてイズミコンサルティング(東京都新宿区)、one building(同目黒区)、動研(同新宿区)の3社に加え、デジタルカタログ事業を展開するTOPPANが参加した。

 日本設計の吉原和正情報システムデザイン部副部長兼設計技術部BIM支援グループ長がまとめた将来像「BIMと省エネのあるべき姿」では、基盤となるBIMのデータベースに蓄積した情報を使って、最適な環境性能を導き出す流れが示されており、その際に省エネ計算や環境基準との整合性判断には環境系ベンダーの関連ツールとの連携が欠かせない。設備関連の機器や部材は種類も数も膨大であり、その性能については機器データベースのようなライブラリーサイトなどと連携して外部データとつながることも求められる。

 清水建設の大内政治設計本部デジタルデザインセンターBIM推進グループ設計長は「機器メーカーにとっては全ての商材で3次元形状を含めたファミリを提供することは難しい。性能情報だけを提供する枠組みであれば、もっと柔軟に対応できるのではないか」と強調する。高砂熱学工業の齋籐英範技術本部システム技術統括部担当部長は外部データベースとの連携について「最新の機器情報を常に反映し続ける仕組みにしていくことが重要になる」とし、鹿島の栗原玄太建築設計本部デジタルデザイン統括/設備設計統括グループチーフは「入力データが正しい情報であるかをチェックできる仕組みを確立することも欠かせない」と付け加える。

 分野を問わず、メーカー各社は自社製品のカタログを提供しているが、それらの多くはデジタルデータ化されていない。自社製品のBIMデータを公開しているケースもあるが、現時点では一部の企業に過ぎない。TOPPANの馬地宏一プロディユース本部シニアアドバイザーは「品番リストに基づいて属性情報をメーカー側のウェブページなどから入手できる枠組みも考えられるが、その際には業界として情報のマッピング定義をきちんと確立することが欠かせない」と焦点を絞り込む。

 外部データとBIMが密接に連携し、ウェブ上で省エネ計算などのプログラムを使って最適解を導き出すことができれば、BIM確認申請にも効果的に計算データを反映できる。建築確認業務では2026年春からBIM図面審査、29年春からはBIMデータ審査がスタートする。吉原氏は「国が準備している確認申請用CDE(共通データ環境)にも計算データを流すことを想定した仕組みづくりが欠かせない。各分野の意見を踏まえながら、省エネ計算に向けた設備BIMのあるべき姿を作っていきたい」と力を込める。

 4dsの金田真聡代表は「ウィーン市が確認申請業務の書類チェックに生成AI(人工知能)を活用したことで9割もの煩雑な業務を解消することができた」ことを紹介し、設計活動でもBIMを使って業務の効率化が実現できれば、「設備設計者はもっとクリエーティビティーの部分に力を入れられる。業界として理想を掲げ、そこに向かって皆で考え方を共有しながら新たな未来に向かって歩んでほしい」と呼び掛ける。ラウンドテーブルは、最適なグリーンビルディング設計の実現に向けて、各分野が力強い一歩を踏み出す場となった。

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この記事は建設通信新聞からの転載です

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