連載 BIMと省エネのあるべき姿(中) 

BIM活用した意匠と設備の連携 
目指す姿を描き道筋たどる

 「グリーンビルディング」をテーマにしたオートデスク主催のラウンドテーブルには、ドイツのベルリン市に事務所を構えるサステナブル建築・コンサルティング事務所「4ds」を主宰する建築家の金田真聡氏が招かれ、環境先進国のドイツで活動する視点から、BIMと省エネのあるべき姿を紹介した。

4dsの金田氏

 2012年からドイツでの活動を始めた金田氏は18年に4dsを設立し、21年にはBIMを用いた省エネ計画ウェブプラットフォーム開発を担うone building(東京都目黒区)を立ち上げた。24年からは建築・不動産業界における50年の環境目標とサーキュラーエコノミーの実現を目指す組織「U100 initiative」も発足し、最適なグリーンビルディング設計の実現に向け、幅広く活動している。

 「実は、ドイツには日本にはない建築物理士という職能が確立し、設計のより早い段階から意匠設計者と連携して最適な環境性能を導き出す役割を担っている」と説明する。建築物理が重要視される背景には、建物のエネルギー性能に与える影響が外皮性能やデザインによるところが大きい。外皮性能が低いと、BEI(エネルギー消費性能)を向上しにくいため、ドイツでは建築物理士が意匠設計者と連携して企画段階から建物のエネルギー性能を導き出し、それを設備設計者に引き継ぐ流れを確立している。

 「日本の場合はBIMデータを活用しながら意匠設計者と設備設計を連携する流れが、これからのグリーンビルディング設計が向かうべき流れになるだろう」。そのためにも「企業の枠を超え、各分野が一体となって最適な枠組みを議論していくことが大切」と強調する。ドイツが国を挙げて取り組む自動車業界のデータ標準規格化のように「日本もグリーンビルディング実現に向けて業界としてのバリューチェーンを確立すべき」と思いを込める。

The Cradle Photo:4ds/Shinji Minegishi

 ドイツ・デュッセルドルフのオフィスビル『The Cradle』は、木造ハイブリッドオフィスビルとして、建築デザインにおけるサステナビリティー(持続可能性)とサーキュラーエコノミー(循環型経済)の旗艦プロジェクトとして知られている。このプロジェクトではBIMを基盤にマテリアルを登録し、建物運用時に建材のトレーサビリティーを確保した上で、解体時に部材を買い取ってもらうリース契約を結んでいる。「順を追って物事を進めていく日本のような考え方とは異なり、ドイツは目指すべき姿を描き、そこに向かって取り組むにはどういう道筋をたどればいいかという考え方で物事を決めていく」。このプロジェクトもそうした流れで実現に至った。

 日本における最適なグリーンビルディング設計の実現についても「まず将来像を示し、関係者が目標に向かって知恵を出し合い、一歩一歩進んでいくことが重要になる」と付け加える。これは、まさにラウンドテーブルに向けたメッセージでもあった。議論では、日本設計の吉原和正情報システムデザイン部副部長兼設計技術部BIM支援グループ長がまとめた将来像「BIMと省エネのあるべき姿」をたたき台に、ラウンドテーブル参加者が忌憚(きたん)のない意見を出した。

 日建設計の吉永修エンジニアリング部門設備設計グループ環境デザインアソシエイトは、金田氏の考え方に同調するように「BIMデータだけで省エネ計算を完結できないのが現状であり、外部データの活用も含め、目指すべき枠組みを描き、議論を積み重ねていくことが重要」と呼び掛けた。

連載 BIMと省エネのあるべき姿(中) 

この記事は建設通信新聞からの転載です

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