連載 BIMと省エネのあるべき姿(上)

BIMは環境性能評価の有効手段 
機器や部材の情報値と連携

 2025年4月から建築物の新築や増改築に省エネ適合判定が義務化され、設計者にとっては省エネ基準への対応が強く求められるようになった。オートデスクが「グリーンビルディング」をテーマに開催したラウンドテーブルでは、BIMと省エネのあるべき姿が議論の中心となった。26年春から確認申請のBIM図面審査、29年春からはBIMデータ審査がスタートする。省エネ計算の最適化に向けた設備BIMの枠組みとは何か。その議論にスポットを当てた。

 ラウンドテーブルには、設計事務所、ゼネコン、設備工事会社のBIM担当に加え、設備シミュレーション系ベンダーの担当者らも詰め掛けた。オンラインも含め参加者は総勢50人にも達した。意見交換ではオートデスクBIMソフト『Revit』のユーザー組織「RUG」の会長を務める日本設計の吉原和正情報システムデザイン部副部長兼設計技術部BIM支援グループ長がまとめた将来像「BIMと省エネのあるべき姿」を題材に議論が進んだ。

 将来像は、BIMと省エネ計算の円滑な連携を実現するため、情報の受け皿としての「パラメータ(情報項目)」整備に並行して、その中に入れ込む機器や部材の「パラメータバリュー(情報値)」をいかにBIMと連携するかを重要視し、そのためにも外部データや省エネ計算プログラムとのデータ連携環境を確立すべきというものだ。

日本設計の吉原氏

 吉原氏は建物の省エネルギー性能を評価する手段として「BIMデータの活用効果は大きい」と強調する。省エネ基準が厳しくなる中で、これまで主流だった簡易計算のモデル建物法では基準を満たせず、性能を評価する標準入力法の導入が求められ、その際には「外部データから設備機器や部材などの情報値をきちんと取り込むことが必要になる」と付け加える。

 近年の大型建築プロジェクトでは、基本計画段階から省エネ設計に着手するケースが少なくない。より早い段階から意匠設計者と設備設計者が連携しながらBEI(建築物消費エネルギー量)を決めていく。吉原氏は「建築条件を踏まえて設備設計者が意匠設計者としっかりと対話しながら省エネ設計を収束させている流れが今後さらに広がっていく」と見通す。

 設備BIMのオブジェクト整備では「ジェネリックオブジェクト」と「メーカーオブジェクト」という二つの考え方が一般化している。設計段階では具体的な機器製品を確定できないため、メーカー固有の製品ではなく、一般的な形状や機能を持つ標準的なモデルとしてのジェネリックオブジェクトを使い、施工段階になって具体的な製品モデルとしてのメーカーオブジェクトに置き換える。

 吉原氏は「この二つだけでは実態にそぐわない場面も出てきている」とし、設計初期から利用可能な「汎用(はんよう)オブジェクト」、設計後半から利用する「設計用標準オブジェクト」、施工を中心に活用する「メーカーオブジェクト」や「施工用標準オブジェクト」というように「段階的に整備していくことが重要になる」と考えている。

 ただ、膨大な設備機器製品や部材の3次元オブジェクト整備は作業面や費用面でメーカー側が全ての商材に対応することが難しい。「必要な能力値以外についてはCSVやXMLのような汎用的データ形式で十分であり、大切なのは外部データとBIMをしっかりとつなげること」と強調する。ラウンドテーブルでは吉原氏の将来像を軸に、多様な意見や考え方が出てきた。

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この記事は建設通信新聞からの転載です

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