連載 BIMソリューションの行方(下)

公開APIつなぎ複数システム連携 
MCPで開発費が経済的に

 オートデスクの第3回MEP(機械・電気・衛生)ラウンドテーブルに登壇したArentの畠中大地第二事業部部長は、AI(人工知能)の技術規格「MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)」の登場によって「AIがより効率的に複数のソフトやシステムと連携できるようになる」と強調した。今年9月に米国で開かれたオートデスクの国際カンファレンス『Autodesk University(AU)2025』に参加する中で「この流れが自社のシステム開発においても見逃せない動きの一つになる」と手応えを口にした。

 オートデスクのBIMソフト『Revit』は、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使って、他のソフトやシステムとつながり、設計の最適解を導き出す。企業にとっては公開されているAPIだけでなく、自社で独自のAPIを開発するケースも少なくない。エージェント型AIシステムの登場によって、AIが自律的に考え、公開されたAPIを探し出し、最適な枠組みを提示できるようになる。

 畠中氏は「これまでは設計の自動化によって効率的に作業を進めることが重視されてきた。これからは設計を進めながら指示を受けたAIが適切な機器を選定し、最適な配置場所も示してくれるようになる」と強調する。複数人の設計者が連携しながら作業を進めてきた設計の流れは変わり、「設計者1人がAIとやり取りしながら作業を進めるような革新的なワークフローがもう技術的には実現可能なところまで来ている」と訴えた。

 AIが最良のシステムをつなぎ、最適解を導く。さまざまな外部ツールやデータソースとつながる標準規格のMCPについては「UCBコネクター規格『Type-C』のようなもの」と例える。日常生活ではパソコンやスマートフォンなどさまざまなモバイル端末や充電器などの関連機器がType-Cで簡単につながり合う。Revitを標準BIMシステムに定め、営業支援や顧客管理などさまざまなツールと連携する場合、それぞれのシステムなどとのAPI連携を開発する必要があるが、MCPによってAPI連携する際の連携コストが大幅に削減される。「より簡単にシステム同士をつなぐことができ、開発費用面でもより経済的になる」と付け加えた。

Arentの畠中氏

 重要なのは、AIのベースとなる良質な情報をいかに蓄積していくかだ。紙に手書きで記したようなアナログ情報(非構造化データ)ではなく、AIがしっかりと読み込めるデジタル情報(構造化データ)の蓄積が求められる。ただ、企業にとっては日々進化を続けるAIテクノロジーのスピードが早く、どのタイミングで本格的なシステム開発に乗り出すべきか悩んでいる状況がある。

 畠中氏は「成熟するまで待っているのでは遅く、データを蓄積し、積極的に試行を行い、企業内で議論を深めていくことが、AI活用やDX推進の近道である」と呼び掛けた。ラウンドテーブルで登壇したオートデスクの岡部一郎技術営業本部建築・土木テクニカルソリューションエグゼクティブも「AI活用には共通データ環境(CDE)がないと良質な分析ができない。まずはクラウド環境を整えた上で、業務ワークフローを構築することが欠かせない」と呼び掛けた。

 AIテクノロジーの進化によってBIMデータ活用の可能性は大きく広がろうとしている。ラウンドテーブルに参加した設備工事会社19社約60人のBIM推進担当にとっては、急速に進化するAIの流れの中で、建設DX推進の枠組みをどう構築していくべきか、そのヒントを得る絶好の機会となった。

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この記事は建設通信新聞からの転載です

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