設備工事会社17社から約60人のBIM推進担当らが参加したオートデスク主催の第3回MEP(機械・電気・衛生)ラウンドテーブルは、今年9月に米国で開かれた同社の国際カンファレンス『Autodesk University(AU)2025』で発表された先進テクノロジーが今後、BIMの流れをどう変えるかを示す内容となった。

AU2025の解説をした同社の岡部一郎技術営業本部建築・土木テクニカルソリューションエグゼクティブは「2年前のAU2023ではワークフローにデータを流す必要性を呼び掛け、当社自身がクラウドプラットフォームカンパニーになることを宣言した。AU2025ではそのワークフローの中にAI(人工知能)が組み込まれ、プラットフォーム自体がより進化し、業務の在り方を大きく変えていくことを伝えた」と説明した。
企業がBIMを出発点に建設DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に踏み込む中で、より重要なのは情報を共有する受け皿としてのプラットフォームであり、先行する企業では共通データ環境(CDE)を構築する流れが広がり、その基盤としてオートデスクの建設クラウドプラットフォーム『Autodesk Construction Cloud(ACC)』を導入している。今後、ACCの中にAI機能を拡充していくことで「業務の幅もスピードも進化し、より多様なBIMデータ活用が実現していく」と付け加えた。

同社はAU2025の開催に合わせ、AECO(建築・エンジニアリング・建設・運用)向けクラウド『Forma』を刷新し、AIネイティブなエンドツーエンド型プラットフォームとして提供するとともに、ACCと統合することで企画・設計から施工、運用に至るまでをシームレスにつなぐライフサイクル基盤を実現していくことを発表した。BIMソフト『Revit』やBIM/CIMツール『Civil 3D』など各アプリケーションユーザーに、ACCのアクセス権限を与えることも位置付け、CDEの中で作業が進むことが今後の潮流であることを示した。
AI機能の積極的な導入に伴い、同社はセキュリティー対策としてAIマネジメントシステムの国際規格ISO42001の認証も取得した。これはAIを利用したシステムやサービスが急速に広がる中で、生成AIによる機械学習などのデータ安全性を担保する重要な規格となり、23年12月に発行された。同社はBIMベンダーの中でも先行して認証を取得した格好だ。
既に同社製品ではAI機能による業務の進化が始まろうとしている。例えばRevitでは、照度基準に満たないため採光を調整したいと指示を出すと、AIがその問いを受けて窓の大きさを自動で変えてくれる。岡部氏は「Revitと対話しながらモデルが作り上げられる世界が目の前に来ている」と強調した。モデリングだけでなく、気象条件から水セメント比の最適な設定を示すほか、契約仕様書の中を読み解き、どの部分が重要であるかを助言する。同社の維持管理プラットフォーム『Tandem』の事例では現場のIoT(モノのインターネット)センサーと他のシステムをつなぐことで予知管理システムの精度もより進化しようとしている。
同社のアプリケーションでは、AIが公開されているAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を探し、最適なコードを作成して実行するような流れが現実味を帯びようとしている。それを実現するキーテクノロジーが、AIと外部のツールやデータソースを接続するための標準化された技術規格「MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)」だ。ラウンドテーブルでは、建設DXコンサルティング会社のArentがその有効性を分かりやすく紹介した。
この記事は建設通信新聞からの転載です
