連載 BIMソリューションの行方(上)

AIと対話しながら作業する時代 
MCPの登場が試金石に

 AI(人工知能)テクノロジーの進展によってBIMデータ活用の流れは新たなステージに入ろうとしている。今年9月に米国で開かれたオートデスクの国際カンファレンス『Autodesk University(AU)2025』は、AI機能の搭載によってオートデスク製品が大きな進化を遂げようとしている状況を浮き彫りにした。それを解説した同社主催の第3回MEP(機械・電気・衛生)ラウンドテーブルは、同社のBIMソリューションが今後どのように進むかを指し示す内容になった。

冒頭あいさつするオートデスクの中西社長

 会場には、MEPの各分野から設備工事会社17社のBIM推進担当約60人が詰め掛けた。近年の設備工事会社は社を挙げてBIMデータ活用に乗り出す動きが広がっている。ラウンドテーブルはAU2025で発表された先進テクノロジーの動向を参考にBIMワークフローを構築していきたいとの要望を受け、解説の場として企画された。参加者の多くが注目したのは、AIの進展によってオートデスク製品がどう進化するかという点だ。

 冒頭、同社の中西智行社長は「AIがツールに組み込まれ、より便利になるというレベルではなく、MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)という共通規格によって、AIがさまざまな外部ツールやデータベースと連携し、業務の在り方を大きく変える可能性を秘めていることをイメージしてもらいたい」と強調した。このように同社の最新ソリューションはAIの組み込みにより、作業効率だけでなく、仕事の進め方自体も進化することを予感させるものとなった。

 同社は、機能拡張に加え、他のシステムやデータベースなどとの連携をしやすくするため、1980年代から各製品のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開してきた。2000年代に入ると、クラウドソリューションにも力を注ぎ始めた。ゼネコンや設計事務所など先行する企業では同社のBIMソフト『Revit』を軸に、APIを介して他の業務システムなどと連携させながら最適な業務ワークフローを構築し、Revitデータの共有プラットフォームとして『Autodesk Construction Cloud(ACC)』を基盤に置く流れが広がっている。

 同社がAIの研究に乗り出したのは09年からだ。18年にはAIラボを設立し、研究開発を加速してきた。これまで同社が発表したAI関連の論文は90件を超える。23年11月に米国ラスベガスで開いたAU2023では次代のプラットフォームテクノロジーとして『Autodesk AI』を発表し、各製品にAI機能を順次搭載することを宣言した。

 AU2025では既に公開されている「Autodesk Assistant」のエージェント型AIによる強化が発表された。これまでは聞いたことに対し、AIが答えを返す流れだった。これからはユーザーがやって欲しいと思うことをAIが先回りして実装していく。まさにAIと対話しながら作業が進んでいく時代に入ろうとしている。

 ラウンドテーブルで登壇した同社の岡部一郎技術営業本部建築・土木テクニカルソリューションエグゼクティブは、AIが公開されているRevitのAPIプログラムを探し出し、それを活用するためのコードを作成することで「誰でも手軽にAPI連携を活用できる環境が到来しようとしている」と付け加えた。これを可能にするMCPの登場が、同社をはじめとする各ソリューションベンダーにとっての大きな試金石になろうとしているからだ。

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この記事は建設通信新聞からの転載です

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