美保テクノスは社内のCDE(共通データ環境)を整えた上で、グループ会社のスペックが中心になり、応用技術が協力する形でoneAQのシステム開発を進めてきた。検証に着手したのは1年ほど前だ。実証プロジェクトの設計責任者を務める設計部の北野哲也係長は「設計者の役割は顧客の思いを形にすることであり、使い勝手だけでなく、設計業務の負担にならないようなアイデアも出している」と語る。
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oneAQ開発の責任者を務めるBIM戦略部の絹田裕輔主任は「私自身が設計部門に所属していた時の経験を生かし、設計情報を2次利用することで設計担当の負担を最小限に抑える仕組みを追求している」と続ける。両氏が「着工前までに施工のことを踏まえた質の高い設計成果を導き出すことが前提になる」と口をそろえるように、美保テクノスではBIMの設計プロセスを円滑に進める上で、独自の組織体制も確立している。
社内ではISO19650に基づいた設計プロセスに沿って業務を進める中で、BIMデータ構築の進捗を管理するタイムキーパー役「プロセスコントローラー」を位置づけ、設計担当の業務が期日通りに進んでいるかをチェックしている。設計前、設計中、設計後には施工部門長クラスからの意見を聞くレビューも組み込んでおり、設計者の目線が常に施工を意識するような枠組みになっている。oneAQは、その設計進捗を管理するツールになっている。
トライアルプロジェクトの初弾となるサービス付き高齢者向け住宅は設計が完了し、工事がスタートした。BIMデータは現場の生産性向上に役立てられるように、施工担当に引き継がれる。現場担当者のBIM活用スキルに応じて、BIM戦略部が支援する流れになり、1現場当たり1人の支援役を置いている。
BIMの進捗を管理するプロセスコントローラーは3人を任命。絹田氏もその1人だ。「oneAQはCDEを誰が見てもわかりやすい状態にするツールだけに、設計者だけでなく、顧客、協力業者にも参加してもらうことで、合意形成の面でも活用できる」と強調する。
oneAQの確立を通じて、新たな役割の道筋も出てきた。北野氏は「私自身、設計担当としてプロセスコントロールの部分も含めて横断的に取り組むBIMマネージャー的な存在を目指していきたい」と思いを口にする。絹田氏は「正確な建築情報を後工程に渡すことがBIMの本質であり、oneAQを検証する中で、新たなプロセスコントローラーの役割も確立していきたい」と前を向く。oneAQの検証を通じて担当者の意識も変わり始めている。
この記事は建設通信新聞からの転載です