オートデスク「InfoDrainage」

インフラ浸水対策にリスク評価ツール需要 
豪雨多発で流出解析ニーズ拡大

 集中豪雨による大規模な冠水被害が全国的に増加している。「この3カ月で少なくとも100を超える地方自治体が浸水区域図作成業務を発注しており、流出解析のニーズが高まりを見せている」。そう解説するのはオートデスクで上下水道関連ソリューションを担当する河村正士シニアアカウントエグゼクティブだ。都市や地域における広範囲の浸水対策ニーズだけでなく、インフラ施設ごとの対策も注視されている中で「よりピンポイントに浸水対策をシミュレーションできる当社製品の強みを知ってほしい」と、浸水リスク評価ツール『InfoDrainage』の存在を熱く語る。

河村氏

 建築や土木の3次元ソリューションを数多く取りそろえる同社だが、実は上下水道関連も豊富で、13ものソリューションを提供している。中でも流域解析ツール『InfoWorks ICM』は、欧米の主要な建設コンサルタントやインフラ事業者の多くが愛用し、日本国内でも建設コンサルタントの70社以上が導入するメイン商材の一つだ。

 河村氏は「最近は局所的な集中豪雨が多発しており、インフラ施設単位で浸水対策を施す必要性が高まっている。より限定したエリアに絞ってシミュレーションできるInfoDrainageの問い合わせが増え始めている」と説明する。海外では業務内容に応じてInfoWorks ICMとInfoDrainageを効果的に使い分けている。日本ではハウジングメーカーやプラントエンジニアリング会社が個別事業の外構計画や浸水リスク評価にInfoDrainageを導入し始めているものの、「建設コンサルタントの導入例はまだない」と明かす。

 インフラ施設の浸水対策は、集水域の範囲を把握した上で、2次元CADを使って水の流れ方を整理し、表計算ソフトなどで排水施設の配置パターンをいくつか割り出すケースが多い。近年は国土交通省のBIM/CIM原則化が動き出した後押しもあり、3次元計測で現況把握する流れが広がっている。取得した敷地の点群データを連携すれば、より効率的な浸水シミュレーションが可能になる。

 InfoDrainageは、土木設計向けBIM/CIMツールとして建設コンサルタント各社が愛用している同社の『Civil 3D』と密接なデータ連携が実現する。「Civil 3Dユーザーには設計提案の付加価値として、InfoDrainageを使って浸水対策を講じてほしい」と強調する。

 同社は2021年2月に米国の水道インフラ系ソフトベンダーであるイノバイズ社を買収した。イノバイズはエックスピーソリューションズなどと統合し、これによって上下水道ソリューションのラインアップを一気に整えた。現在は13ものソリューションを取りそろえる。近年はAI(人工知能)機能の強化を進め、世界各国の1万件を超える浸水データベースから導き出す評価分析力がInfoDrainageの強みの一つになっている。

 オートデスクは、日本の上下水道分野への営業体制を7月から拡充した。先行する欧米ではCivil 3Dユーザーの4社に1社がInfoDrainageを導入しており、建設コンサルタントの浸水対策ツールとして定着している。河村氏は「海外ではCivil 3Dとの連携によって浸水シミュレーションの業務時間を3割削減したケースもあり、業務効率化と品質向上の浸水評価ツールとして認知されている。日本国内の建設コンサルタント各社にもInfoDrainageの強みを知ってほしい。年内までに10社への導入を目指したい」と展望する。

この記事は建設通信新聞からの転載です

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