鴻池組は、2026年から3カ年のBIMロードマップ『KONOIKE BIM STYLE 2・0』をスタートする。これは受注プロジェクトの8割以上にBIM導入が進む同社にとって、新たな業務プロセスの構築に向けた一歩になる。ロードマップ策定の中心メンバーである内田公平BIM戦略課長は「最新のテクノロジーを取り入れ、真の効率化につなげていきたい」という目的を持って、オートデスクが9月に米国で開いた国際カンファレンス「Autodesk University(AU)2025」に参加した。

同社は、受注プロジェクトの着手前に現場がBIM活用の項目を決め、業務効率化に取り組んでいる。25年は設計モデルによる事前整合確認、施工時の整合確認、仮設計画、施工ステップ、数量算出、点群活用、施工関連図面作成など計14項目のメニューを設定している。
BIM戦略課が対象プロジェクトに見合う活用メニューを提示し、現場所長などの意見を聞きながら取り組むべき項目を決める流れになる。プロジェクトの特性や配置人員などによって活用項目は異なるが、中には7、8項目を設定する前向きなプロジェクトもある。東京本店では数量算出、大阪本店では納まり検討にBIMデータを活用するプロジェクトが多く、いずれも活用率は全体の7割に達する。

同社がBIMに取り組み始めたのは04年にさかのぼる。BIM戦略課の前身となるCAD課に内田氏が所属していた際、オートデスクからBIMソフト『Revit』を紹介されたことがきっかけとなった。内田氏は「先行してデザインツールにRevitを使い始めたことが業界で話題になった」と振り返る。Revitユーザー組織「RUG」の初代副会長にも任命され、09年に日本初のBIMガイドライン策定にもかかわり、社内では設計段階へのBIM導入を強化してきた。
14年には、施工段階へのBIM活用に舵を切り、東京、大阪、名古屋で施工BIMのトライアルプロジェクトにも取り組んだ。現在は建築プロジェクトのBIM導入率が81%に達するまでに拡大した。このうち設計施工案件は87%、他社設計案件では76%になる。内田氏が「BIMの標準ツールは決めず、プロジェクトに合わせて最適なソフトを選定することが当社の考え方」と説明するように、特に施工段階ではいくつかのツールを使い分けているが、他社設計案件では「設計事務所がRevitを使っている場合はそのデータを活用して展開するケースも多い」という。
新たなBIMロードマップが始まる26年のBIM活用メニューには「デジタルツイン」「AI(人工知能)」「CDE(共通データ環境)」の3項目を設定する方針だ。「実はこの3つの最新トレンドを把握する情報収集の一環としてAUに参加した」と明かす。今回のAUは「ものづくりの新時代」をテーマに、オートデスクのAIテクノロジーを搭載した最新ソリューションが大々的に発表された。

内田氏は「クラウドを通じて情報が『End To End』(端から端まで)でつながる流れが今後のトレンドになる。この動きを踏まえてロードマップが進むべき道筋を描いていこう」と考えている。AUを通じて「設計の進め方も完成形のパターンが先に示され、それを選択するようなアウトカムベースの進め方に大きく変わっていく。BIMを使えない熟練技術者もそれを踏まえて的確な指示が出せるようになる」ことも実感した。新たなロードマップにはAIやCDEへの対応方針を示す計画で、それによっては「オートデスクとより親密な連携に発展していく可能性も出てくる」と付け加える。
同社のBIM導入率は8割を超え、さらに高まりを見せようとしている。今後、BIM活用の効果を最大限に生かすためには「1つのプロジェクトでいくつものメニューに取り組む横軸の強化が重要になってくる」と位置付けている。AUへの参加をきっかけに同社は、生産プロセスの一貫したBIMデータ活用のステージに踏み込もうとしている。
この記事は建設通信新聞からの転載です